研究所トップ研究成果情報平成15年度

シルク和紙原料の桑枝条用小型剥皮機


[要約]

 電気ドリルの動力とフレキシブルシャフトを用い、ステンレス角棒を俵形に成型した刃を回転させ、桑枝条表面の黒皮と緑皮を削り取る機械である。シルク和紙原料の桑白皮を得るための皮剥き作業が軽労化するとともに、より安全な作業となる。

[キーワード]

剥皮機、クワ、和紙、軽労化

[担当]宮城農園研・情報経営部・作業技術チーム
[連絡先]電話 022-383-8114、電子メール marc-kk@pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 シルク和紙は、原料繊維として動物繊維の絹繊維と植物繊維の桑繊維を用いる。原料桑繊維の製造工程は、(1)伐採後に蒸した原木から表皮を剥ぎ取り、(2)表皮最外層の黒い皮とその下の緑皮を刃物で削り取り、(3)最下層の白い皮を得るものである。シルク和紙製造現場から軽労化の要望が大きい黒皮と緑皮の表皮削り取り作業を機械化するために、小型で安価な剥皮機を開発する。
[成果の内容・特徴]
1. 小型剥皮機は、電気ドリルとフレキシブルシャフトを用い、ステンレス角棒を俵形に成型した刃を回転させ、真上から回転刃を表皮に押し当てて黒皮と緑皮を削り取る(図1、2)。
2. 小型剥皮機作業習熟度の高い作業者(作業者A)の場合、機械を用いた1時間当たりの白皮重量(乾物)は、慣行手作業の2倍程度多い。また、1枚あたりの白皮重量(乾物)と仕上がり精度から、良質な白皮を得やすい(表1)。
3. 小型剥皮機作業習熟度の低い作業者(作業者B)の場合、慣行手作業より作業能率が悪くなるが、仕上がり精度は向上する(表1)。
4. 作業者の自覚疲労等は、小型剥皮機で手や肩の作業負担が少い。また、刃にカバーが付いているので安全性が高い(表1)。
[成果の活用面・留意点]
1. 刃を強く当てすぎると必要な白皮まで削れ過ぎてしまうので、注意が必要である。
2. 電気ドリルの場合は必要ないが、汎用モーターを用いる場合、回転数を制御するスピードコントローラーが必要になる場合がある。
3. 小型剥皮機は、楮の黒皮剥き作業用としても利用可能である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:繭・生糸の高付加価値化のための加工技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003年度
研究担当者:相澤正樹、山村真弓、菅野秀忠