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軟X線照射を利用した夏秋咲き輪ギク品種「青バイオ1号」の育成


[要約]

 白色夏秋咲き輪ギク品種「精雲」の茎頂培養由来無菌植物体に軟X線照射により突然変異を誘発して、淡黄色の夏秋咲き輪ギク品種を育成した。

[キーワード]

キク、軟X線、組織培養

[担当]青森農林総研・グリーンバイオセンター・細胞工学研究部、青森農林総研・フラワーセンター21あおもり・栽培開発部
[連絡先]電話 017-728-1015、電子メール shinji_kudo@ags.pref.aomori.jp
[区分]生物工学
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 青森県内において主に栽培されている夏秋咲きの色物輪ギク品種は「スーパーイエロー」であるが、白色品種と比較するとボリュームに欠けるため、組織培養と軟X線照射を組み合わせた方法を用いて、青森の気候に適した、花形の良い、夏秋咲き色物品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
夏秋咲き輪ギク品種「精雲」の茎頂培養由来無菌植物体に軟X線を3KR照射してから節毎に一度切り分けて培養し、伸長してきた芽を切り取り、発根、順化後、ほ場に定植したものに、花色が黄色に枝変わりした株が出現した。挿し芽により変異の固定を行い、繰り返し形質の安定性を確認している。(表1)
2. 形態的特性
「精雲」と比較して、花色が淡黄緑色であること、葉の縦横比が大きいこと、舌状花数が少なく管状花が多いこと、花弁の幅が広いこと、花の周辺に向かうにつれて花色が淡くなるなどの特徴がある。(表2、図1)
[成果の活用面・留意点]
1. 白色輪ギク品種「精雲」と比較して生育特性に大きな違いがないので、「精雲」と同様に同一ハウス内での栽培管理が可能である。(表3)
2. 病害虫防除は慣行通り実施する。
3. この手法による突然変異誘発は、葉片培養、花弁培養などによる再分化を経ないため、多くの品種に適用可能であるとともに、短期間で大量に変異拡大処理が可能である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:組織培養技術、放射線照射等による変異を用いた新品種・新作物の開発
予算区分:県単
研究期間:1997〜2002年度
研究担当者:工藤真治、田中功二