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軟X線照射を利用した10月咲き小ギク品種「青バイオ4号」の育成


[要約]

 10月咲き小ギク品種「芳香」の茎頂培養由来無菌植物体に軟X線照射により突然変異を誘発して小ギク品種「青バイオ4号」を育成した。

[キーワード]

キク、軟X線、組織培養

[担当]青森農林総研・グリーンバイオセンター・細胞工学研究部、青森農林総研・フラワーセンター21あおもり・栽培開発部
[連絡先]電話 017-728-1015、電子メール shinji_kudo@ags.pref.aomori.jp
[区分]生物工学
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 近年、青森県内において、小ギクの栽培が増加傾向にあるが、青森県の気候に適したパテントフリー品種は数少ない。そこで、組織培養と軟X線照射を組み合わせた方法を用いて、青森県の気候に適した、県オリジナル小ギク品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
10月咲き小ギク品種「芳香」の茎頂培養由来無菌植物体を節毎に切り分けて培養したものに軟X線を5KR照射してから再度切り分けて培養し、伸長してきた芽を切り取り、発根、順化後、ほ場に定植したものに、花弁がさじ弁に変異した株が出現した。挿し芽により変異の固定を行い、繰り返し形質の安定性を確認している。(表1)
2. 形態的特性
「芳香」と比較して、草丈が高いこと、葉の縦横比が大きいこと、葉柄長が長いこと、花房の形が平形であること、花弁の形がさじ弁であること、外花弁の反り方が平であること、内花弁の反り方が内曲であること、花たくの大きさが大きいこと、花首の長さが長いこと、2次側蕾発生程度が少ないこと、外花弁の表面の色が濃紫赤色であること、裏面の色が穏赤紫色であること等の特徴がある。(表2、図1)
[成果の活用面・留意点]
1. 青バイオ4号の定植時期は6月下旬である。
2. 病害虫防除は慣行通り実施する。
3. この手法による突然変異誘発は、葉片培養、花弁培養などによる再分化を経ないため、多くの品種に適用可能であるとともに、短期間で大量に変異拡大処理が可能である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:組織培養技術、放射線照射等による変異を用いた新品種・新作物の開発
予算区分:県単
研究期間:1998〜2002年度
研究担当者:工藤真治、田中功二
発表論文等:工藤ら(2001)園学雑70(別1):289.