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えぞりんどうの葉片培養由来増殖個体は交配親として利用できる


[要約]

 えぞりんどうの葉片培養由来増殖個体を育成し、生育の均一性、花粉の充分な稔性を確認した。さらに、増殖個体間の交配により得られた後代でも切り花としての異常が認められなかったことから、葉片培養による増殖技術はF1育種における採種用親系統の生産・維持に有効である。

[キーワード]

えぞりんどう、葉片培養、採種

[担当]岩手農研・農産部・応用生物工学研究室
[連絡先]電話 0197-68-4414、電子メール t-takesawa@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・生物工学
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
 岩手県のりんどう登録品種の大半はえぞりんどうのF1雑種であるが、その採種用親系統の生産・維持には多大な労力を必要とする。その解決のため採種用親系統の組織培養による増殖・順化技術を確立してきたところである。本研究では、葉片培養由来増殖個体の変異や経年的特性、さらに増殖個体間の交配により得られた後代の変異や特性を確認し、葉片培養由来増殖個体の採種用親株としての適用性を確認する。
[成果の内容・特徴]
1. 葉片培養由来増殖個体に変異は認められず、生育も均一である。(表1,2)
2. 葉片培養由来増殖個体の花粉稔性は充分であり、交配への利用に問題がない。(表3)
3. 葉片培養由来増殖個体間の交配により得られたF1種子の発芽能力は十分である。また、F1個体では変異や奇形などの異常が認められない。(表4)
4. 以上のことから、葉片培養によるえぞりんどうの増殖技術は、F1育種における採種用優良親株の安定生産・維持に有効な技術である。
[成果の活用面・留意点]
1. りんどうF1採種用親系統の生産の安定化と労力の軽減に寄与する。
2. 本研究の目的は、葉片培養由来増殖個体のバラツキや変異の確認であり、形質に関する調査の数値ならびに花粉稔性や種子稔性の数値は、環境条件等により変動するものであり、各系統の特性を代表する値ではない。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:えぞりんどう組織培養における維持、増殖システムの確立
予算区分:県単
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:竹澤利和、阿部潤