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CAPSマーカーを利用した宮城県育成ユリ品種の識別技術


[要約]

 独自に開発したユリのCAPSマーカーを利用し、DNAによる宮城県育成ユリ品種の品種識別が可能である。

[キーワード]

DNA、マーカー、CAPS、ユリ、品種識別

[担当]宮城農園研・バイオテクノロジー開発部・遺伝子工学チーム
[連絡先]電話 022-383-8131、電子メール marc-kk@pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・生物工学
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 宮城県は、ユリ4品種を育成し県内生産者に普及している。4品種のうち3品種はシンテッポウユリとヒメサユリのF1雑種、他の1品種はヤマユリとヒメサユリのF1雑種である。このため、球根や開花前の状態では品種の識別が難しい。これら品種の原種苗や生産物を適正に管理するため、CAPSマーカーを利用してユリのDNAから品種識別を行う。
[成果の内容・特徴]
1. プライマーは、シンテッポウユリの幼苗期のcDNAライブラリーより得た塩基配列情報から設計したMSFL 02、04、11、12、17と、DDBJ(日本DNAデータベース)に登録されているユリの塩基配列から設計したMFL 01を使用する。PIC(多型情報量)が高いマーカーほど、品種識別の能力が高い(表1)。
2. 葉や球根からDNAを抽出する。PCRは、プレヒート94℃2分、94℃1分・50〜55℃1分・72℃1分を35サイクル、ポストヒート72℃5分。制限酵素で消化後、2%TBEアガロースゲルで電気泳動し、断片の違いを写真で多型解析する(図1)。
3. 宮城県育成ユリ品種から抽出したDNAに、開発したCAPSマーカーを適用することで、4品種間の違いを識別できる(表2)。
4. シンテッポウユリの塩基配列からプライマーを設計しているが、同属別種のオリエンタルハイブリッドやアジアティックハイブリッド(スカシユリ)でも多型が得られる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1. 本技術により、宮城県育成ユリ品種の原種苗を管理する。
2. プライマーの塩基配列については問い合わせに対応する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:園芸作物育種におけるDNAマーカー利用技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:千葉直樹、足立陽子、中村茂雄