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マニュアスプレッダー利用による農作物残渣の堆肥化技術


[要約]

 農場より発生する作物残渣を、マニュアスプレッダーを用いて牛ふん堆肥と2:1の割合で混合堆積すると堆肥化が進む。残渣堆肥は混合した牛ふん堆肥より養分濃度がやや高い。

[キーワード]

マニュアスプレッダー、農作物残査、堆肥化

[担当]岩手農研セ・生産環境部・土壌作物栄養研究室
[連絡先]電話 0197-68-4423、電子メール CE0008@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 今後農業の自然循環機能を高めるためには、農作物残渣や家畜糞尿等の有機物循環技術の確立が不可欠である。しかし、家畜糞尿の堆肥化に比べ農作物残渣の有効利用は進んでいない。一方、岩手大学で開発したマニュアスプレッダーを利用した家畜糞堆肥化技術は、農家の一般所有機械を活用した低コスト手法である。そこでこの手法を研究機関の農作物残渣処理に応用した結果を取りまとめ、農家や集団でも利用可能な堆肥化手法を提案する。
[成果の内容・特徴]
1. 堆肥化処理フロー
(1) 原料:全ての農作物残渣(表1)が堆肥原料として使用できるが、大豆、とうもろこし、稲わら等の低水分残渣はチョッパーで細断し、野菜等の高水分残渣と水分60%を目安に混合堆積する(図1)。
(2) 切り返し法:混合残渣を2、堆肥を1の割合でマニュアスプレッダーに積載し、堆肥舎内でトラクタ−を静止させ、スプレッダーのみを動かして1.5〜3m程度に積み上げると、空気混入により良好な堆積状態が得られる。その結果60〜80℃まで堆肥温度が上昇する(図2)。
(3) 熟成の判定:2週間ほどで温度が下がったら再度切り返す。水分不足の場合は汁液、雨水、水道水等により60%まで補給する。2ヶ月ほどで切返し後50℃に達しなくなるので熟成に移り、3ヶ月ほどで完成する(図1、2)。
2. 堆肥の成分分析:残渣堆肥は混合した牛ふん堆肥に比べ、C/N比が低く、N,P,K,Ca,Mg等の養分濃度がやや高い(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1. 切り返し後、堆肥温度が50〜60℃以上で継続することを確認する。
2. 低水分牛ふん堆肥が不足する際は、戻し堆肥も使用可能。また十分な温度上昇が得られない場合は、米糠等の易分解性有機物を混合する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:マニュアスプレッダー利用による地域内有機物の急速堆肥化技術
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:小野剛志(岩手農研セ)、鳥巣諒、前田武己(岩手大学)