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アスパラガスにおける堆肥の表層施用の効果


[要約]

 アスパラガス栽培において牛ふん籾殻堆肥や籾殻堆肥を厚さ2〜3cmに表層施用すると、堆肥からの窒素供給により生育がよくなるが、表層土及び下層土への養分の移行は少ない。また、地温の変化が少なく、8割以上の雑草を抑制することができる。

[キーワード]

堆肥、表層施用、肥効、地温抑制、雑草抑制、アスパラガス

[担当]山形農試・生産環境研究部
[連絡先]電話 023-647-3500、電子メール moriokam@pref.yamagata.jp
[区分]東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 多年生型の作物を栽培する場合、有機質資材をマルチ代わりに表面に施用して雑草抑制や保湿、夏期の高温防止に利用することがある。このとき有機質資材からの肥効を勘案した施肥が必要となるため、有機質資材を表層施用した場合の肥効特性と環境への負荷程度を調査し、畑地における堆肥の表層施用効果を検討した。
[成果の内容・特徴]
1. 牛ふん籾殻堆肥や籾殻堆肥を表層施用した場合、堆肥からの窒素供給によりアスパラガスの生育量は増加する(表1)。一方、表層土(深さ5〜10cm)及び下層土(深さ15〜20cm)の土壌化学性の変化は少なく、堆肥からの養分の移行は少ない(表2)。
2. 牛ふん籾殻堆肥、籾殻堆肥、生籾殻の表層施用により、地温の変化が少なく地温上昇抑制及び保温効果がある(図1)。
3. 雑草抑制効果は各有機物とも高く、放任区に比べ8〜19%に低下した(表3)。堆肥を表層施用しても生育する夏の雑草はスベリヒユ、イヌビエなどが多い。
[成果の活用面・留意点]
1. 堆肥の表層施用は厚さ2〜3cmになるように行う。散布ムラがあると雑草抑制効果は劣る。また、堆肥による雑草種子の持ち込みを防ぐために60℃以上で発酵させた完熟堆肥を使用する。
2. 春先の堆肥の表層施用は、地温の上昇を抑制するため生育が劣ることがある。
3. 供試堆肥は、牛ふん堆肥(水分26%、容積重0.57g/ml、T-N:1.49%現物、C/N:13.0)、牛ふん籾殻堆肥(水分56%、容積重0.41g/ml、T-N:0.57%現物、C/N:25.8)、籾殻堆肥(水分63%、容積重0.32g/ml、T-N:0.28%現物、C/N:43.0)である。
4. 本試験は、農試圃場(細粒褐色森林土)において2002年〜2003年に行った。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:土壌バイオマスコントロールによる持続型土づくりの確立
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:森岡幹夫