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畑地における堆肥の秋施用、雪上施用の効果


[要約]

 堆肥を秋施用、雪上施用した場合、冬期間に堆肥中の硝酸態窒素が減少する。しかし、堆肥の肥効の差は少なく周年利用が可能である。また、雪上施用による融雪効果は高く、堆肥の種類、散布量による大きな差はみられない。

[キーワード]

堆肥、秋施用、雪上施用、肥効、融雪効果、畑地

[担当]山形農試・生産環境研究部
[連絡先]電話 023-647-3500、電子メール moriokam@pref.yamagata.jp
[区分]東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 堆肥の散布時期は春施用が多く、堆肥センター等では冬は保管施設が足りなくなり、春になると需要が集中して不足してしまう。そこで、堆肥の周年利用を図るために、秋施用や冬施用による養分供給能と環境負荷を検討し、畑地における堆肥の秋施用及び雪上施用の肥効と施用効果を検討した。
[成果の内容・特徴]
1. 堆肥を秋施用、雪上施用した場合、春施用に比べて土壌中の硝酸態窒素が減少する(表1)。これは、堆肥に含まれる硝酸態窒素が冬期間に減少したと思われる。また、秋施用の耕耘の有無による土壌化学性の差もみられず、冬期間の堆肥の分解はほとんどないと思われる。
2. キャベツの生育および窒素吸収量において、前年夏以降の施用による堆肥の肥効の差は少ないため、堆肥の周年利用が可能である(図1)。
3. 堆肥の雪上施用は2月下旬〜3月上旬の積雪30cm程度の堅雪の状態で散布する。堆肥の雪上施用による融雪効果は高く、山形農試で2月18日に散布した場合26cmの積雪が1週間で消雪した(図2、3)。また、堆肥上に積もった雪の融雪も早く、圃場の乾きも早い。
4. 堆肥の雪上施用による融雪効果おいて、牛ふん籾殻堆肥(380kg/a施用)と牛ふん堆肥(150kg/a施用)の差はみられない。
[成果の活用面・留意点]
1. 堆肥の雪上施用による融雪効果を期待する場合は晴天が続く日に行い、降雪時はさける。
2. 雪上施用はクローラ型堆肥散布機による堆肥散布が可能である。また、散布した堆肥が確認しやすいために散布ムラが少ない。
3. 堆肥の雪上施用は、畑地のほか水田でも可能で、畦畔や畝を痛めにくい。
4. 供試堆肥は、牛ふん籾殻堆肥(水分57%、仮比重0.37、T-N:0.53%現物、NO3-N:0.01%現物、C/N:28.7)、牛ふん堆肥(水分25%、仮比重0.53、T-N:1.33%現物、NO3-N:0.01%現物、C/N:15.6)である。
5. 本試験は、農試圃場(細粒褐色森林土)において2002年〜2003年に行った。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:土壌バイオマスコントロールによる持続型土づくりの確立
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:森岡幹夫