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平年の根雪初日4週間前からのコムギ雪腐褐色小粒菌核病の薬剤防除


[要約]

 コムギ雪腐褐色小粒菌核病の防除では、必ずしも根雪直前に薬剤を散布する必要はなく、平年の根雪初日4週間前からの1回散布でも十分な効果がある。なお、散布後の薬剤が速やかに、かつ十分に茎葉に固着したと考えられれば、根雪前に多少の降雨や積雪があっても再散布は必要ない。

[キーワード]

コムギ、雪腐褐色小粒菌核病、薬剤防除、根雪

[担当]青森農林総研・病害虫防除室、水田利用部
[連絡先]電話 0172-52-4314、電子メール toshitaka_iwama@ags.pref.aomori.jp
[区分]東北農業・生産環境(病害虫)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 コムギの雪腐病類の防除には、根雪直前の薬剤散布が効果的とされている。しかし、根雪が始まる時期を予測することが難しいため、この時期を狙ったために防除適期を逸することが多い。また、根雪に近づくほど気象条件や圃場条件が散布作業には不適となり、防除意欲も低下する傾向がある。
 そこで、余裕をもって散布作業に臨め、十分な防除効果が得られる薬剤散布適期を、コムギの雪腐病類のうちで最も主要な雪腐褐色小粒菌核病を対象に検討する。
[成果の内容・特徴]
1. 2年間にわたり根雪前の種々の時期にコムギ雪腐褐色小粒菌核病を対象に薬剤(イミノクタジン酢酸塩・有機銅水和剤、フルアジナム水和剤、トルクロホスメチル粉剤・水和剤)散布試験を行ったところ、平年の根雪初日(試験を行った地域では12月13日)の4週間前まで散布時期を早めても、根雪直前1回散布と同様に十分な防除効果が得られる(図1、2)。
[成果の活用面・留意点]
1. 対象地域の平年の根雪初日を基準とし、その4週間前を散布開始時期の目安とする。これよりも早い時期の散布は防除効果が急激に低下する。
2. 散布後から根雪までの間に、降雨が続いたり一度積もった雪が解けてしまうことがあるが(図1、2)、散布後に薬剤が速やかかつ十分に茎葉に固着したと考えられれば再散布の必要はない。
3. 圃場の排水改善などの耕種的防除にも努める。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:コムギ雪腐病発生変動要因の解明と防除技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2002年度(冬作)
研究担当者:岩間俊太、渡邊智雄、坂本伸子