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比重種子選別機により選別された採種圃産水稲種子は塩水選を省略できる


[要約]

 比重種子選別機により比重1.13で厳選し、吹き付け消毒を行った採種圃産種子では種子伝染性病害の発病リスクは極めて少なく、病害防除を目的に改めて塩水選を行う必要はない。

[キーワード]

水稲種子、比重種子選別機、吹き付け消毒、種子伝染性病害、塩水選

[担当]宮城古川農試・作物保護部
[連絡先]電話 0229-26-5108、電子メール atohba@faes.pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・生産環境(病害虫)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 種子伝染性病害の防除技術として種子の塩水選別は基本的技術である。しかし、種子生産組織における比重選別機の導入により、厳選された種子が生産されるようになった。また、種子消毒剤の効果も向上してきている。よって、種子予措の労力軽減を図るため、採種圃産種子における塩水選省略の可能性について検討した。
[成果の内容・特徴]
1. 採種圃産種子では、比重1.13以上の種籾の割合が94%以上と高く、1.10以下の割合は1%未満で極めて低い(表1、平成14および15年度)。
2. 比重1.13以上の水稲種子に吹き付け消毒を行った場合、ばか苗病に対して高い防除効果が得られることから、ばか苗病防除を目的に改めて塩水選を行う必要はない(表2)。
3. 比重1.00以上の種子では、保菌籾率に関係なく、塩水選の比重を1.13に上げて選別してもいもち病の保菌率はほとんど低下しない。よって、塩水選によるいもち病保菌籾の除去効果は非常に小さい(図1)。
[成果の活用面・留意点]
1. 種子予措の労力軽減を図るとともに、一般農家の種子更新率を高め種子伝染性病害の発生を抑制する。また、種子生産組織の指導資料として活用する。
2. 比重種子選別機により厳選された種子に種子消毒を行った場合についてのみ、塩水選の省略は可能である。
3. 種子生産組織において比重種子選別機の稼働中は塩水選との整合性を取るようチェック体制を強化する。
4. 採種圃場及びその周辺ほ場については種子伝染性病害の発生を徹底防除する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:吹き付け消毒した水稲種子の防除効果(宮城県)
予算区分:2003年度(宮城県)
研究期間:大場淳司、三上綾子、笹原剛志、畑谷みどり
研究担当者: