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伝染源のある育苗ハウスにおけるイネいもち病の感染実態


[要約]

 伝染源として罹病種子または育苗ハウス内に被害残さが存在する場合、いもち病は育苗期に周囲への伝搬が確認され、移植時期が遅れる場合、いもち病罹病苗の本田への持ち込みの危険性が高まる。

[キーワード]

いもち病、育苗期、持ち込み、潜伏感染

[担当]宮城古川農試・作物保護部・病害制御チーム
[連絡先]電話 0229-26-5108、電子メール ayamik@faes.pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・生産環境(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 いもち病罹病苗の移植(持ち込み)は本田初発を早め、いもち病多発の原因となる。持ち込み罹病苗を増加させる主な原因として、育苗期の罹病種子由来の発病苗や育苗ハウス内被害残さからの感染が考えられた。そこで育苗ハウス内でこれら伝染源からの伝染実態を明らかにすることをねらいとした。
[成果の内容・特徴]
1. 伝染源として罹病種子またはハウス内に被害残さが存在する場合、いもち病は播種後25日目以降に隣接苗に発病する。播種後30日には隣接苗箱内で発病苗が増加し、播種後35日以降には広範囲の育苗箱で発病する。(図1、2、表1)
2. 罹病種子またはハウス内に被害残さが存在する場合、播種後30日ではすでに広範囲の苗にいもち病菌が潜伏感染しているため、罹病苗を圃場へ持ち込む危険性が高い。
[成果の活用面・留意点]
1. 本試験は稚苗の播種量で試験を行った。また、種子は保菌率約40%程度の高度汚染籾であり、発病を促す条件下で試験を行った。
2. 本結果より、稚苗で育苗日数が30日を超える場合は移植前に薬剤処理を指導するための参考となる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:種子・育苗期防除を主体としたイネいもち病の環境保全型防除システムの開発
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:三上綾子、笹原剛志、石川志保、辻英明