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罹病苗持ち込みがいもち病の伝染源となる地域における育苗期防除の効果


[要約]

 持ち込み阻止対策として、箱施用剤の播種時処理や移植前日の苗にいもち病防除薬剤を茎葉散布することにより、本田でのいもち病の初発時期を遅らせ、伝染サイクル数を抑制できる。

[キーワード]

いもち病、持ち込み、育苗期、箱施用、茎葉散布

[担当]古川農試・作物保護部
[連絡先]電話 0229-26-5108、電子メール SakuhoG@pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・生産環境(病害虫)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 いもち病の本田初発が育苗期に感染した苗の本田持ち込みに由来する地域では,罹病苗持ち込み防止が、その後の発生を抑制するのに有効と考えられる。そこで、箱施用剤の播種時処理や、茎葉散布剤の移植前日散布による持ち込み阻止効果を確認する。
[成果の内容・特徴]
1. 無処理区ではいもち病罹病株、特に発病程度の高い株が、ある特定の植付条に集中的に分布することから、本田初発の主要因は罹病苗持ち込みであると推定できる(図1)。
2. 無処理区では、7月25日時点でいもち病菌が複数世代を経過し、病斑が坪状に発生した。一方、箱施用剤の播種時処理区と茎葉散布区では、罹病苗の本田持ち込みが回避されて伝染サイクル数が抑制され、孤立病斑が散在する程度で株当たり病斑数も少ない(図1)。
3. 罹病苗の本田持ち込みを回避する効果は、箱施用剤の播種時施用、茎葉散布剤の移植前日処理とも同等であるが、その後の防除効果は茎葉散布剤の移植前日処理の方が劣る。
[成果の活用面・留意点]
1. 移植時に罹病苗の本田持ち込みが回避できれば、本田での防除回数の低減が可能である。
2. 持ち込み回避対策として育苗期防除薬剤の選択には、各地域のいもち病の発生状況、または防除体系を考慮する必要がある。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:種子・育苗期防除を主体とした稲いもち病の環境保全型防除システムの開発
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:笹原剛志、大場淳司、三上綾子