気象予報を利用した穂いもちの防除要否意思決定による防除散布回数の削減
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[要約] |
穂いもち防除散布回数削減のため、止葉での葉いもち発生状況と出穂期前後の気象予測からの穂いもち防除要否の判断フローを作成した。これは、散布剤を用いて穂いもちを行う要否および防除時期の意思決定支援に利用できる。
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[キーワード] |
イネ、穂いもち、発生予察、防除の省力化、気象予報
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[担当]福島農試・病理昆虫部・発生予察研究室
[連絡先]電話 024-932-7789、電子メール nusi.aac@pref.fukushima.jp
[区分]東北農業・生産環境(病害)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい] |
穂いもち防除散布回数削減のため、上位葉の葉いもち発生量と出穂期前後の気象予測を利用した効果的かつ効率的な穂いもち防除の意思決定支援を行う。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
慣行防除より省力防除を目指す農家を対象として、気象情報の降水確率予報等を利用した穂いもち散布回数削減のための意思決定の判断基準を作成した(図1)。このため、穂いもち防除は慣行2回を0回あるいは1回に削減することを目的としている。 |
2. |
作成した基準では、止葉、次葉での葉いもち発生状況を確認した後、設定した期間内に「雨が降る可能性が高い」あるいは「雨が降る可能性が低い」ことを気象予報等により判断することで穂いもち防除要否や防除時期を決定する。 |
3. |
2002年、2003年の2カ年、「雨が降る可能性が高い」という意思決定を気象予報による降水確率30%以上を判断基準として利用し、穂いもち防除要否を判断した。慣行の穂いもち対象2回の防除に比較して防除回数を1回に削減した結果、ほぼ同等であり、また、防除回数を削減したことの収量に及ぼす影響は少なく、慣行防除とほぼ同等の収量を得ることができた(表1、表2)。 |
4. |
以上のことから、作成した防除要否の判断基準を用いることで、穂いもちに対する防除回数の削減を目指す場合の防除要否および防除時期の意思決定を支援できる。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
この判断基準は防除回数削減を前提としているため、品種や栽培条件によっては、慣行の2回散布に比較して防除効果が劣る場合がある。 |
2. |
利用する場合は、止葉、次葉での葉いもち発生を把握することが重要となる。 |
3. |
この判断基準は、穂いもち防除を散布剤で行う際の支援技術に限定しているため、育苗箱施用剤および粒剤に対しては未検討である。 |
4. |
葉いもちに対する防除要否および防除時期の推定には利用できない。 |
5. |
雨が降る可能性の目安は利用者が判断しやすい情報を利用する。 |
6. |
構築したフローはプロトタイプであるため、利用する場合は試験研究機関や病害虫防除所等による地域や営農形態に対応した技術的サポートが必要である。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:伝染源量推定および気象予報に基づいた穂いもち防除技術の実証
予算区分:IPM
研究期間:2000年〜2003年
研究担当者:根本文宏、山田真孝
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