「東北地域の代表的水稲糯品種」におけるアミロペクチン構造と硬化性
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[要約] |
水稲糯品種における硬化性の違いは、でんぷんのアミロペクチン構造と関連づけられる。 硬化性が大きく加工適性が優れる「こがねもち」は、「たつこもち」や「ヒメノモチ」より、もちの硬さおよび糊化開始温度が大きく、アミロペクチン鎖長の短鎖が少ない。
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[キーワード] |
イネ、水稲、糯品種、硬化性、糊化開始温度、アミロペクチン構造
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[担当]秋田農試・作物部・水稲育種担当
[連絡先]電話 018-881-3330、電子メール i-kodama@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・水稲
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい] |
もちの硬化性は加工適性に関わる要因であり、硬化性が大きい水稲糯品種の育成は重要な育種目標の一つである。硬化性が特に大きい陸稲糯系統では、でんぷんのアミロペクチン構造と硬化性との関連性が既に報告されている(梅本ら,成果情報,2000年)。一方、糯品種の硬化性は、安定した遺伝形質であることが報告されている(小林ら,新潟農研研究報告,1,1999年)。
そこで、加工適性が優れる「こがねもち」および東北地域の代表的な水稲糯品種で、「たつこもち」、「ヒメノモチ」について、硬化性とアミロペクチン構造の特性を明らかにし、でんぷんのアミロペクチン構造に着目した評価の可能性を検討する。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
アミロペクチン構造は、白米粉5mgを用い、陰イオン交換クロマトグラフィー・パルスドアンペロメトリック検出(Dionex社)にかけ1サンプル90分で測定できる。 |
2. |
糯品種の硬化性の大きさを示すとされる、もちの硬さおよび糊化開始温度ともに、「こがねもち」は、「たつこもち」や「ヒメノモチ」より大きく有意な差が認められる。品種間における登熟期の気温の差は小さく、硬化性、糊化開始温度の違いは品種の特性に基づくと判断される(表1)。 |
3. |
糯3品種のアミロペクチン鎖長分布は、粳品種の「あきたこまち」と比較し、短鎖(重合度6〜11)および中鎖の一部(重合度12〜18)が少なく中・長鎖(重合度19以上)が多い、共通のパタンを示す(図1)。 |
4. |
「こがねもち」の鎖長分布は、「たつこもち」、「ヒメノモチ」に対して短鎖の違いで特徴づけられ、特に重合度6〜10の短鎖の割合が少ない(図1、2)。 |
5. |
もちの硬さおよび糊化開始温度が大きい水稲糯品種の硬化性は、アミロペクチンの構造上の違い、特に短鎖との関連性が示唆される(表1、図1、2)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
微量な試料で「こがねもち」に類似したアミロペクチン構造をもつ個体や系統を評価できる。 |
2. |
鎖長分布が異なる後代系統を育成し、アミロペクチン鎖長分布と硬化性との関連の解明に資することができる。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:次世代銘柄米の品種育成
予算区分:県単
研究期間:2000〜2003年度
研究担当者:小玉郁子、篠田光江、眞崎聡、川本朋彦、松本眞一
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