低アミロース米水稲新品種候補「山形84号」の食味特性
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[要約] |
「山形84号」は、「はえぬき」並の良食味である。粘りが強く、冷めても食味が低下しない特性を持つ。精米歩合は89%程度、炊飯直後に食べる場合の炊飯加水量は一般飯用米の10%減が適当である。
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[キーワード] |
イネ、新品種、山形84号、低アミロース米、食味評価、加水量、糊化特性
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[担当]山形農試・水田営農研究部、山形農試庄内支場・水稲品種開発部
[連絡先]電話 023-647-3500、電子メール masanomen@pref.yamagata.jpail
[区分]東北農業・水稲
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい] |
「山形84号」はアミロース含量が安定した早生の低アミロース米である。山形県では山間部から中山間部向けの新品種として採用し、当該地域の食味向上に寄与すると考えられる。そこで、炊飯特性などその食味特性について、検討し、普及指導上の資とする。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
精米歩合が下がるにつれ(よく削る)、食味試験の味や炊飯光沢、総合評価が上がるが、88%では砕米により外観が劣り、歩留まりも下がるため、搗精歩合89%程度が適当である(表1)。 |
2. |
炊飯時の加水量を一般飯用米と同様(重量比1.31)とした場合では、炊飯直後でも、19℃で1時間放冷したおにぎりの状態でも、食味評価の粘りは強いが、やわらかく、15%減では硬い。 総合評価や粘り、光沢、硬さなどから、炊飯直後に食べる場合は加水量を一般飯用米の規定量から10%減少 (重量比1.31 x 0.9)して炊飯することが適当である(表1)。 |
3. |
ラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA)による熱糊化特性は、最高粘度、ブレイクダウンは「はえぬき」並で、セットバックは「はえぬき」よりも小さく、冷めても硬くなりにくい(表2)。 測定時の加水量を20%まで減少して試験を行うと、加水量が少ないほど最高粘度とブレイクダウンは増加するが、セットバックに変化は見られず、老化しにくい特性は維持される。 |
4. |
炊飯米1粒を押しつぶしたときの硬さ(押しつぶし強度)は炊飯時の加水量を10%減らした場合に「はえぬき」並の硬さとなる(図1)。 |
5. |
一般飯用米と同様に、精米中のタンパク含量が高いと食味総合評価が低くなる(図2)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
タンパク含量が高まると、食味特性を低下させることから、多肥栽培は行わず、適正な肥培管理につとめる。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:水稲奨励品種決定調査、需要増進型水稲品種の開発
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:浅野目謙之、中場勝
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