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障害不稔発生程度と刈取適期


[要約]

 不稔歩合が高いほど籾の黄化速度が早く、青未熟粒が早く減少する。また早期から割籾の発生や、被害粒・着色粒の増加によって品質が低下することから、不稔歩合が高いほど刈取適期は早まる。刈取適期の目安は不稔発生程度別に出穂後積算気温で決まる。

[キーワード]

イネ、不稔歩合、刈取適期、出穂後積算気温

[担当]岩手農研セ・農産部・水田作研究室、県北研・やませ利用研究室
[連絡先]電話 0197-68-4412、電子メール CE0008@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・水稲
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 冷害年において水稲の障害型不稔が発生した場合、品質を確保するための刈取適期の判定が困難である。そこで、平成15年の刈取時期別の玄米品質の推移から、不稔発生程度別の刈取適期の目安を検討した。
[成果の内容・特徴]
1. 不稔歩合が高いほど、籾の黄化速度は早まる。また、不稔歩合が高いほど割籾が早期から発生し、発生率も高い(図1)。
2. 不稔歩合20%程度の場合、出穂後積算気温1000℃以上では青未熟粒がほとんど消失し、以後の被害粒の発生が多くなるため、刈取適期の晩限を出穂後積算気温1000℃とする(図2)。
3. 不稔歩合30%程度の場合、出穂後積算気温950℃以上で青未熟粒が消失し、被害粒が著しく増加するため、刈取適期の目安は出穂後積算気温で850〜950℃とする(図2)。
4. 不稔歩合40%程度の場合、出穂後積算気温900℃以上では着色粒が増加し、品質が低下するため、刈取適期の目安は出穂後積算気温800〜900℃とする(図3)。
5. 不稔歩合60%以上では、出穂後積算気温850℃以上で青未熟粒の割合はまだ高いが、着色粒の増加が著しく品質が低下するため、刈取適期の目安は出穂後積算気温750〜850℃とする(図4)。
[成果の活用面・留意点]
1. 「かけはし」「いわてっこ」(軽米・岩手県北研)、「あきたこまち」(北上・岩手農研セ)について検討した。
2. 出穂後積算気温は出穂期翌日からの日平均気温の積算である。
3. 玄米の素質を評価するため1.7mm篩調整玄米について調査したものであり、実際に使用する篩目は、粒厚や歩留りを考慮し選択する必要がある。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:水稲作況調査と作柄成立要因の解析
予算区分:県単
研究期間:2003年度
研究担当者:及川あや、寺田道一、吉田宏、小田中温美、高橋政夫、大清水保見