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色彩色差計を利用した水稲籾黄化程度の判定


[要約]

 水稲籾の黄化程度を色彩色差計により評価した。色彩色差計測定による「Lab表色系」表示の「a」値は、籾黄化程度の判定に利用可能である。

[キーワード]

イネ、黄化籾、色彩色差計

[担当]岩手農研セ・農産部・水田作研究室
[連絡先]電話 0197-68-4412、電子メール CE0008@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・水稲
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 米の高品質、良食味米の安定生産のためには、適期刈り取りの徹底が栽培管理上重要である。刈り取り適期の判断は、籾の黄化割合や出穂後の積算気温などを指標としているが、黄化籾割合の判定には、個人差が大きいことから、籾の黄化程度を色彩色差計により測定、評価する手法を検討した。
[成果の内容・特徴]
1. 色彩色差計(ミノルタ社製、CR-310)による籾黄化程度の測定手法(図1)
黄化籾、帯緑色籾(青籾)が混在しているサンプルの黄化程度を色彩色差計により測定する手法は、以下のとおりである。
ア. 圃場から平均的な株を採取後直ちに脱穀し、不稔籾を除去する。サンプル籾の乾燥は測定値に影響するので乾燥させないように注意する。
イ. 白度計(ケット社製、C-300)の測定セルに籾を充填する。
ウ. 色彩色差計の測定部を測定セルの測定面に垂直に密着させ、測定する。測定表示は、「Lab表色系」で行う。
2. 黄化籾割合が増加すると色彩色差計の測定値の「L」値と「a」値が高くなるが、「b」値は黄化籾割合と一定の傾向は見られない(図2)。また、「a」値は籾の緑色と関係する籾のクロロフィル含量と負の関係が見られる(図3)。
3. 黄化籾割合が増加すると明度を評価する「L」値が高まることから、籾の黄化が進むとともに「白さ」が高まることを示している。
4. 黄化籾割合が増加すると「a」値が高まることは、「緑」から「赤」への変化を示しており、色彩色差計による測定は、籾黄化程度の推移を「緑色」が減少していく過程として評価される。黄化籾割合80%以上に対応する「a」値は、おおむね4以上である(図2-b)。
[成果の活用面・留意点]
1. 色を数値で表示する「Lab表色系」は、明度を「L」、色度を「a」、「b」で表す。「+a」は赤方向、「−a」は緑方向、「+b」は黄方向、「−b」は青方向を示す。
2. 品種は「ひとめぼれ」について検討したものである。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:籾クロロフィル含量に着目した水稲刈り取り適期診断技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:吉田宏、及川あや、高橋政夫