平成15年の不稔歩合は減数分裂期15日間の冷却量と関係が高かった
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[要約] |
平成15年の水稲冷害において、花粉母細胞分化期から減数分裂盛期の期間が長くなった場合には、減数分裂期10日間の冷却量を指標とするよりも、減数分裂盛期前10日〜後4日間の15日間冷却量を指標とした方が不稔歩合との関係をよく説明できる。
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[キーワード] |
イネ、異常気象、障害不稔、冷却量
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[担当]岩手農研セ・農産部・水田作研究室、県北研・やませ利用研究室
[連絡先]電話 0197-68-4412、電子メール CE0008@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・水稲
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい] |
平成15年は、7月の低温の影響により、県内各地で水稲の障害不稔が多発した。岩手県においては、障害不稔発生の推定及び要因解析は、減数分裂期10日間の気温(冷却量)を用いて行ってきたが、平成15年はこの減数分裂期10日間冷却量が少ない場合においても不稔が多発する事例が見られたので、その要因について解析した。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
岩手県中南部の「あきたこまち」、「ひとめぼれ」の不稔歩合は、従来の指標である減数分裂期10日間冷却量と相関が高いが、県北部の「かけはし」、「いわてっこ」では、10日間冷却量が同じ場合であっても不稔歩合に大きな差が見られ、減数分裂盛期が8月3日以前のものは不稔歩合が高い(図1、図2)。 |
2. |
生育ステージが早く、減数分裂盛期が8月3日より早い場合、7月下旬の低温の影響を大きく受け、花粉母細胞分化期(幼穂長1cm前後)から減数分裂盛期までの期間が約10日間と長期化し、不稔歩合が高い傾向を示す。 |
3. |
低温の影響を受けやすい花粉母細胞分化期から減数分裂盛期までの期間が長期化したことを要因としてとらえ、減数分裂盛期前10日〜後4日間の15日間冷却量を指標として設定すると、「かけはし」や「いわてっこ」の出穂期による不稔歩合の違いがよく説明できる(図4)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
平成15年の事例のように、花粉母細胞分化期から減数分裂盛期までの期間が長期化した条件での障害不稔の解析に利用できる。 |
2. |
冷却量は、内島(1976)の報告を参考に以下のように算出した。
10日間冷却量=Σ(平均日冷却度)、(期間:減数分裂盛期の前5日〜後4日)
15日間冷却量=Σ(平均日冷却度)、(期間:減数分裂盛期の前10日〜後4日)
平均日冷却度=20−平均気温(ただし平均気温が20℃以上の場合は、0とする)
平均気温は、毎正時(1時〜24時)気温の平均値 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:水稲作況調査と作柄成立要因の解析
予算区分:県単
研究期間:2003年度
研究担当者:吉田宏、寺田道一、臼井智彦、高橋政夫、大清水保見
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