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水稲乾田土中点播早期湛水の6葉期茎数不足時の追肥による生育調節
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[要約] |
水稲乾田土中点播早期湛水において、「あきたこまち」の目標収量(57kg/a)を得るための穂数は400〜460本/m2である。穂数確保に必要な6葉期の茎数は160〜300本/m2である。6葉期に生育診断を行い、茎数が理想生育の下限より少ない場合に追肥を行うと、穂数及び総籾数が増加し目標収量に接近する。
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[キーワード] |
水稲乾田土中点播早期湛水、6葉期、生育診断、茎数、穂数、総籾数、目標収量
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[担当]秋田農試・作物部・栽培生理担当
[連絡先]電話 018-881-3336、電子メール c-miura@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・水稲
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい] |
寒冷地における水稲乾田土中点播早期湛水においては、気象条件により苗立数を十分に確保できず、初期生育が少なくなる場合がある。その場合に理想生育(表1)をもとにした生育診断による追肥を行うことにより、目標収量(57kg/a)の安定生産をはかる。
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[成果の内容・特徴] |
| 1. |
目標収量(57kg/a)を得るための穂数400〜460本/m2の確保に必要な6葉期の茎数は160〜300本/m2である。6葉期の茎数と穂数は相関が高いことから苗立後の生育診断は6葉期に行い、理想生育の下限より茎数が少ない場合は、茎数を増加させ、理想生育に接近させるために追肥を行う(図1)。なお、苗立数(2〜3葉期)と穂数の相関は低く、3葉期の追肥効果も見られない(図省略)。 |
| 2. |
6葉期の茎数が理想生育の下限160本/m2より少ない場合に速効性の肥料を用いて追肥(N0.5kg/a)を行うと、最高分げつ期の茎数が増加し、有効茎歩合は高いままで穂数も増加する。なお、2003年の6葉期追肥の利用率は10.4%である。(図2、表2) |
| 3. |
6葉期に茎数が理想生育よりも少ない場合に追肥を行うと、穂数及び総籾数の増加により収量が5〜7%増加し、初期生育が十分だった場合に接近する。また、追肥による品質の低下はない。(表2) |
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[成果の活用面・留意点] |
| 1. |
6葉期の生育診断後に追肥を行う。追肥時期が遅くなると倒伏しやすくなるので注意する。 |
| 2. |
乾田土中点播早期湛水に適する土壌群は灰色低地土、グライ土、強グライ土である。 |
| 3. |
乾田土中点播早期湛水は播種量は0.6〜0.8kg/a(乾籾換算)、基肥量はN0.6〜0.8kg/a(LP70:100=2:3混合)で、播種後7日以内に湛水を行う。 |
| 4. |
解析に用いた生育結果は欠株のない条件で得られている。 |
| 5. |
追肥の効果は苗立数50本/m2(3本/株)で、6葉期の茎数が理想生育より少ない条件で得られている。 |
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[具体的データ] |
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| [その他] |
研究課題名:新省力機械化を中心とした高度水田輪作技術体系の確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:三浦恒子、若松一幸、片平光彦、鎌田易尾、児玉徹
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