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東北北部における水田畦畔被覆植物の生育特性と利用法


[要約]

 水田畦畔の被覆植物として、被度安定性や抑草効果等からみて最も優れる草種がノシバ、次いでシバザクラである。両草種とも、定植後の被度拡大や生育の安定性保持のため、適宜の雑草取りを必要とする。

[キーワード]

畦畔被覆植物、ノシバ、シバザクラ、省力化、軽労化

[担当]青森農林総研・藤坂稲作研究部
[連絡先]電話 0176-23-2165、電子メール yoshio_kudo@ags.pref.aomori.jp
[区分]東北農業・水稲
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 水田の中間管理作業の中で、除草作業や病害虫防除作業等は最近の技術進歩によって、大幅な省力化・軽労化が図られてきている。しかし、畦畔管理の作業については、抑草剤等の開発が進められているが、草刈り作業への依存が大きく、稲作農家に重労働を課している現状にある。このため、畦畔に草丈があまり高くならない被覆植物を栽植することで雑草の生育を抑制し、草刈り作業回数の削減による省力的・軽労的な畦畔管理法について検討する。
[成果の内容・特徴]
1. 水田畦畔の被覆植物として利用可能と考えられる11草種について、定植(又は播種)後の被度安定性や抑草効果等からみた有望度を評価した。その結果、最も有望な草種はノシバで、次いでシバザクラであった(表1、2)。
2. ノシバ及びシバザクラの生育特性と利用法
(1) ノシバは他の草種に比べて、被度拡大が早く、踏みつけに強い。また、越冬後の被度も安定している。作業量や経済性からみた栽植密度はm2当たり6マット程度である(表3)。
(2) シバザクラはノシバと比較し、被度拡大がやや遅く、踏みつけにやや弱いが、適宜の雑草手取りをすることで生育が旺盛となる。また、越冬後の被度も安定している。被度拡大からみた栽植密度はu当たり13〜25株程度である(表3)。
(3) 定植後の管理は以下のとおりである(写真1)。
3. ノシバ及びシバザクラの利用は、定植作業や活着後の適宜の雑草手取り作業を必要とするが、刈払い機による除草作業が3〜4回/年から0〜1回/年となり、大幅な削減となる。
[成果の活用面・留意点]
1. ノシバは葉の混み合いにより病気が発生する恐れがあるので、年1回刈り込みを行う。その際、強く刈込むと生育の回復が遅れるので、草丈5cm程度は残すようにする。
2. シバザクラは踏みつけにやや弱いため、天端部の生育が劣り、裸地化する恐れがあるが、アジュガと比較して耐乾燥性に優り(観察調査)、被度の安定性が高い。
3. 施肥は雑草の生育を旺盛にするので行わない。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:県南地域を中心とした省力水管理システムの確立
予算区分:県単
研究期間:1998〜2002年度
研究担当者:工藤予志夫、菊池晴志、上村豊和、境谷栄二、三浦嘉浩、玉川和長