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耕種的管理と機械除草を組み合わせた水田雑草の防除法


[要約]

 深水管理に荒代と植代の間隔を2週間とする移植前作業と、機械除草を組み合わせた体系は、一年生雑草主体の圃場で除草効果が高い。

[キーワード]

イネ 雑草防除 耕種的管理 機械除草

[担当]岩手農研セ・農産部・水田作研究室・生産工学研究室
[連絡先]電話 0197-68-4412、電子メール CE0008@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・水稲
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 消費者ニーズや環境に対する意識が高まる中、特別栽培米や減農薬栽培等への取り組みが多くなっており、水田雑草防除においても除草剤に頼らない除草体系が求められている。深水管理によるノビエの抑草効果や、機械除草の効果は既に明らかになっているが、これらの技術を組み合わせた場合の除草効果に関しては知見が少ない。このことから、移植後の深水管理を中心に機械除草や移植前作業(荒代〜植代期間を2週間程度)との組み合わせによる除草効果について検討した。
[成果の内容・特徴]
1. 移植後の深水管理だけでは、ノビエ以外の雑草を抑制するのは難しい(図1、図2)。
荒代と植代の間隔を2週間程度と長くし、その間に発生した雑草をすき込む移植前作業+深水管理の体系は、深水管理だけの場合より、残草量を25%程度まで少なくすることが出来る(図1)。しかしホタルイ類に対しては、除草効果は不十分である(表1)。
2. 移植後の深水管理+機械除草(移植後20日、30日の2回)の体系は、移植前作業+深水管理の体系より、一年生雑草に対する除草効果は高くなるが、ホタルイ類に対する効果は同等である(図1)。
3. 移植前作業+深水管理+機械除草2回の体系では、ホタルイ類に対する除草効果が高まり、深水管理だけの場合より、残草量は6%程度まで減少する(図1)。
4. 一年生雑草主体でホタルイ類の発生量が少ない圃場では、移植前作業+深水管理+機械除草2回の除草体系が有効である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1. 深水管理は、移植後速やかに入水し、稲が水没しない程度から稲の生育に合わせて徐々に水深を上げ、11〜13cmの水深を25日間程度維持する。
2. ホタルイ類の発生が多い圃場では、初期剤を組み合わせることで対応できる。
3. 深水管理により分げつが抑制され、穂数・収量ともに70〜80%に減少する。
4. クログワイ、シズイなどの多年生雑草が多発する圃場には適用できない。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:水稲栽培における水田雑草の最小限防除技術の開発 水田除草機の性能確認試験
予算区分:県単、委託
研究期間:2000〜2003年度
研究担当者:尾形茂、臼井智彦、高橋政夫、大里達朗