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堆厩肥適正利用のための肥料成分推定法


[要約]

 電気伝導度値から堆厩肥の肥料成分の推定が可能であり、牛ふん堆厩肥の窒素及びカリ成分の推定精度は高い。また、土壌水分計による測定値及び電気伝導度から堆厩肥の乾物率の推定も可能である。

[キーワード]

堆厩肥、肥料成分、簡易推定法

[担当]青森農林総研・畜産試験場・草地飼料部
[連絡先]電話 0175-64-2231、電子メール kumiko_keicho@ags.pref.aomori.jp
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 堆厩肥は、過剰に施用した場合には作物の品質や土壌環境への悪影響が懸念されるため、その利用に当たっては、適正施用が基本とされている。そのためには堆厩肥の肥料成分を把握することが必要であるが、従来の化学分析では時間と費用がかかることが問題となっている。そこで、生産現場で活用できる、簡易でかつ迅速な堆厩肥の肥料成分推定法について検討する。
[成果の内容・特徴]
1. 牛・豚・鶏ふん堆厩肥の窒素、リン酸、カリ、石灰、苦土及び炭素成分について、堆厩肥の電気伝導度測定値(原物堆厩肥の5倍量の水を加え、30分振とう後測定;mS/cm)を要因とした比較的精度の高い成分推定式が得られ、要因に乾物率(70℃、48時間乾燥後測定;%)を加えることにより推定式は各成分ともさらに推定精度が高まる(表1)。
2. 推定式作成に用いたものと異なる試料で適合性を検討すると、牛ふん堆厩肥の窒素及びカリはECのみでも高い適合性を示し(図1)、乾物率を要因に加えると精度はやや改善される(図2)。このことから本法は現場での簡易な成分推定法として利用できる。
3. 土壌水分測定器による測定値(Hz)と電気伝導度から、堆厩肥の乾物率の推定が可能である(表1)。
[成果の活用面・留意点]
1. 現場で堆厩肥の肥料成分が1時間以内に測定できる。
2. 本推定式は、堆厩肥の副資材が稲わら、オガクズ、モミガラ主体のものを対象とし、特殊な副資材(豆腐粕や新聞紙等)が混入したもの及び固液分離処理した堆厩肥は適用できない。
3. 牛ふん堆厩肥のリン酸の適合性がやや低いため、本推定式を利用し堆厩肥施用量を設定する場合には、適合性の高い窒素及びカリ推定値を基準とする。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:草地・飼料畑における牛ふん尿の環境保全型施用技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:慶長久美子、藤田次男、村田憲昭、廣田千秋