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放牧による乳用育成牛の後躯の発育効果


[要約]

 乳用育成牛の放牧は、舎飼と比較して増体量および体尺測定値の増加率が大きく、とくに尻長や腰角幅において顕著であり、乳房を幅広く付着させる後躯の発育に効果的であると示唆される。

[キーワード]

乳用育成牛、放牧、増体量、体尺測定値、発育

[担当]秋田畜試・大家畜部・乳牛担当
[連絡先]電話 0187-72-2511、電子メール suzuki-mituaki@pref.akita.lg.jp
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、乳牛の産乳能力は著しく向上しているが、その一方で周産期病や繁殖障害などの疾病も増加し、生涯生産性の低下が問題となっている。さらに育成期では運動不足や飼料摂取量の不足により乳牛本来の遺伝的能力を十分発揮できない状態である。そこで、育成期において遺伝的潜在能力を発揮させることができるフレームサイズを実現させるため、放牧管理による育成牛の発育効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
1. 試験開始時を100とした増体量および体尺測定値の試験終了時の増加率は、放牧牛は舎飼牛と比較して大きく、胸深および胸幅を除く全ての測定部位について統計学的有意差が認められる(表1)。
2. 放牧牛の尻長および腰角幅は、舎飼牛と比較して顕著な発育を示し、乳房を幅広く付着させる後躯の発育に放牧が効果的である(図1、図2)。
3. 放牧牛および舎飼牛の血液生化学成分値は一定の傾向は認められないが、総蛋白質(図3)やグルコース(図4)の推移から判断すると、いずれも概ね栄養状態は良好である。
[成果の活用面・留意点]
1. 放牧利用は草高20cmを目安とするが、放牧地草量の不足が想定される場合は乾草など粗飼料を補給する必要がある。
2. 外部寄生虫駆除のため、放牧牛に対して定期的な薬剤散布が必要である。
3. 初回発情月齢は、放牧牛、舎飼牛ともに16ヶ月齢で、その時の体高は129cm、体重350kgである。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:地域資源活用による乳牛の生涯生産性の向上に向けた飼養技術の開発
予算区分:国庫・県単
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:鈴木満明、加賀谷伸、深澤充