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同一系統内繁殖雌牛の肥育特性解明とそれに基づく交配指針作成


[要約]

 交配指針を作成するにあたっては、同一系統の繁殖雌牛でも、各系統の種雄牛との交配組み合わせの違いで枝肉成績に有意な差があるかを調査し、それぞれの交配組み合わせによる肥育特性を明らかにしておくことが効果的である。

[キーワード]

交配指針、交配組み合わせ、枝肉成績、肥育特性

[担当]秋田畜試・大家畜部・肉牛担当
[連絡先]電話 0187-72-3814、電子メール akibeko@mail2.pref.akita.jp
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 黒毛和種牛において、交配を行うときには、種雄牛および繁殖雌牛がもつ能力を把握するとともに、互いに適した交配組み合わせをすることが重要となる。近年、育種価による種畜の能力推定が定着してきてはいるが、育種価の高いもの同士の交配でもその遺伝的能力を十分に発揮できない場合、またその逆の場合もよく見受けられる。すなわち、交配組み合わせの選定は、育種価のみならず、他の方法を加えた形で考察する必要がある。そこで、各系統の種雄牛との交配組み合わせによる産子の枝肉成績を把握し、その肥育特性を繁殖雌牛の交配指針として利用することを試みる。
[成果の内容・特徴]
1. 父が同じで、さらに島根由来の同様の血統構成をもつ2種雄牛(A及びB)の娘牛について、種雄牛の系統(6系統)との交配組み合わせによる枝肉成績について分散分析を行うと、種雄牛Aの娘牛でロース芯面積(p<0.05)、種雄牛Bの娘牛で枝肉重量およびバラの厚さ(p<0.01)にそれぞれ差が認められる(表1)。
2. 両娘牛の各交配組み合わせ間の比較で、それぞれ異なる交配組み合わせの各枝肉成績に差が認められることにより(表2)、それぞれの肥育特性が明らかとなり、交配指針を作成するにあたっては、このような調査方法は効果的であることが示唆される。
3. 主な枝肉成績について、各種雄牛系統の平均値と全系統の平均値との差を標準偏差で除し、標準化したスケール上に位置づけたレーダーチャートを作成することで、種雄牛A(図1)およびB(図2)の娘牛それぞれについて、各交配組み合わせにによる産子の特徴が明確になる。
[成果の活用面・留意点]
1. 県有種雄牛及びその娘牛の交配指針または肥育素牛選定時の参考事例として活用できる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:高品質牛肉生産のための肥育特性の解明
予算区分:県単
研究期間:1997〜2002年度
研究担当者:関屋万里生、水平忠昭、加藤真姫子
発表論文等:関屋ら(2003) 秋田畜試研報 第18号:19-23