研究所トップ研究成果情報平成15年度

子豚の発育に対する血液成分値と免疫能の関係


[要約]

 哺乳期の子豚体重に対して、血液成分値ではBUN(尿素態窒素)、免疫能はPHA(リンパ球幼若化能)との関係が深い。離乳後から10週令では、血液成分値のALB(アルブミン)との関係は深いが、免疫能との関係は哺乳期に比べ小さい。

[キーワード]

血液成分値、免疫能、BUN、PHA、ALB

[担当]山形豚試
[連絡先]電話 0234(91)1255、電子メール youtonshi@pref.yamagata.jp
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 本県の養豚一貫経営では肉豚の飼養管理上の問題点として、子豚期の事故率の高いことがあげられる。子豚期の事故率を低減するには、栄養、飼育密度および温度など飼養管理の改善が求められ、さらに子豚の免疫能の関与も考えられる。
 そこで、子豚期の発育に対する血液成分値と免疫能との関係について、哺乳期と離乳後に区分して検討した。
[成果の内容・特徴]
1. 哺乳期の子豚体重に対する構成要因は、血液成分値ではBUNを含め6要因、免疫能はPHAを含めた5要因であり、寄与率が0.9125であった。(表2)
2. 離乳後から10週令では、血液成分値はALBを含めた6要因、免疫能は2要因で、寄与率は0.9185であった。(表3)
3. 子豚期の体重に対する血液成分値と免疫能に対して、哺乳期では血液成分値のBUNと免疫能のPHAが、離乳後は血液成分値のALBが、それぞれ関係は深い。(表2、表3)
4. 子豚期の事故率を低減するために、哺乳期では子豚が初乳および飼料を、また離乳後は飼料を充分摂取できるような飼養管理技術の改善が求められる。
[成果の活用面・留意点]
1. 本試験で供試した子豚の管理は次のとおりである。
(1) 人工乳は生後2週令から給与し、生後4週令で離乳した。
(2) 豚マイコプラズマ病ワクチンは生後2週令と4週令で接種した。
(3) ARトキソイドワクチンとAppトキソイドワクチンは生後3週令と5週令で接種した。
(4) 豚丹毒不活化ワクチンは生後8週令と10週令で接種した。
(5) 供試豚の抗体検査は生後8週令で検査し、結果は陰性だった。
2. 血液成分値は子豚期の栄養管理の指標として活用できる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:子豚における血液成分値および免疫能について
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:須藤英紀、五十嵐宏行、齋藤常幸、大塚浩道、川村清市、宇佐美浩樹、伴  顕北里大・獣医畜産学部、山形県農業共済連庄内家畜診療所)
発表論文等:第79回日本養豚学会大会講演要旨:12,(2003)