細断型ロールベーラによる飼料用トウモロコシ等の収穫調製法
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[要約] |
飼料用トウモロコシ等の収穫調製作業は、細断型ロールベーラを用いることで省力化を図ることができる。また、飼料用トウモロコシのロールベールサイレージは長期間保存した場合においても品質は良好であり、開封後の好気的変敗も起こりにくい。さらに、成形直後に密封できなくとも発酵品質は劣らない。
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[キーワード] |
細断型ロールベーラ、飼料用トウモロコシ、省力化、発酵品質
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[担当]福島畜試・草地飼料部
[連絡先]電話 024-593-1221、電子メール tikusi@pref.fukushima.jp
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい] |
飼料用トウモロコシの収穫及びサイレージ調製作業は牧草と比較して省力化が遅れており、購入飼料の増加に伴ってその作付け面積は年々減少している。また、サイレージの貯蔵には大型施設を利用する場合が多く、施設の維持・管理、給与および品質保持等に多くの経費と労力を要する。そこで、細断型ロールベーラを用いた飼料用トウモロコシ等の収穫調製能力を調査するとともに、長期保存した場合等の発酵品質を明らかにする。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
1条刈りコーンハーベスタ、細断型ロールベーラおよび専用ラッピングマシンを用いた飼料用トウモロコシの収穫調製作業時間は、自走式ラッピングマシンを用いた場合は37〜52分/10a、牽引式ラッピングマシンを用いた場合は39〜47分/10aであった。また、ソルガムの収穫調製作業時間は30分/10aであった(表1)。 |
2. |
ハーベスタ(1条)、細断型ロールベーラ、ラッピングマシン(牽引式)、ロールグラブによるロールベーラ体系の総作業時間は57分/10aであった。また、ハーベスタ(1条)、ワゴン(2台)、タワーサイロによる従来体系の総作業時間は34分/10aであった(表2)。 |
3. |
ロールベーラ体系による飼料用トウモロコシ収穫調製作業時間は、10a当たり1時間44分であり、タワーサイロ体系と比較して作業時間を57%低減できた(表2)。 |
4. |
ロールベール重量は326〜377kg/個(水分60〜79 %)、梱包密度は乾物で122〜233 kg/m3であった。また、梱包ロスと密封ロスの合計割合は0.6〜1.4 %と極めて少なかった。 |
5. |
長期間保存したロールベールサイレージの乳酸含量は低下し、揮発性塩基態窒素(VBN)含量は増える傾向にあるが、pHは一定であり(図1),1年間の長期保存後におけるフリーク評点およびV2-SCOREは98及び94点と高い値であった。 |
6. |
開封後のロールベールサイレージを10日間連続採取(縦置きで上から毎日30kg採取)した場合、乳酸含量は徐々に低下し8日目以降急激に減少した。VBN含量は徐々に増加し、酢酸含量およびpHは8日目以降急激に増加した(図2)。 |
7. |
成形6時間後に密封したロールの発酵品質は、成形後直ちに密封した場合と差はないが、成形24時間後に密封したロールは、表層部の乳酸含量が少なく、pHが極めて高かった。しかし、成形24時間後に密封した場合でも内部の乳酸含量は高く、pHも低かった(図3)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
トウモロコシの収穫調製を2人で行えるようになり作業の省力化を図ることができる。 |
2. |
長期保存したサイレージの品質は良好であり、開封後の好気的変敗による損失も少ないことから、年間を通して良質のトウモロコシサイレージを給与することが可能になる。 |
3. |
成形後のロールベールを密封までに数時間放置しても発酵品質に差はみられないため、1人の作業者が成形作業後に密封作業を行う収穫体系も可能となる。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:自給飼料生産の省力、軽労化のための機械化作業体系の確立 2)トウモロコシ等長大作物の省力的収穫・調製法
予算区分:受託試験
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:大槻健治
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