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| [背景・ねらい] |
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イネは低温にあうといもち病に感染しやすくなるため、冷害時にはいもち病の発生が多くなり不稔とともにいもち病による減収も大きくなる。このような現象は古くから知られているが、その定量的解析は行われていない。グラディオトロンを利用して低温が葉いもち抵抗性に及ぼす影響を定量的に評価する。また、その評価をホームページ上に日々更新で公開する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
どの低温処理期間でも処理気温が低くなるにつれて病斑数が多くなっているが、接種前22日間と32日間の低温処理期間で、処理中の平均気温が20℃以下になると病斑数が急激に多くなり、葉いもち感受性が高まっている。 |
| 2. |
接種前20日間における日平均気温20℃以下の積算冷却度(Σ(20−T))と病斑数には、気象状況の異なる4年間の試験で高い相関があり、この冷却度により葉いもち感受性を推定できる(図2)。 |
| 3. |
平成15年度から、水稲冷害早期警戒システム上で、「イネのいもち病菌に対する感受性を評価する冷却度」として公開している(図3)。平成15年度は冷夏だったことから、主に太平洋側の各県のイネで葉いもちに対する感受性が高まっていたことが予想され、宮城、福島の両県では大きな被害になったと考えられる。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
品種は、あきたこまち、ひとめぼれ、ササニシキを用いた。他の品種に応用できるかどうかは未確認である。 |
| 2. |
水稲冷害早期警戒システムで公開している葉いもち発生予察(BLASTAM)による感染好適条件の出現状況と関連して活用する。 |
| 3. |
冷却度と病斑数の関係(図2)の回帰直線の傾きが年度により異なるのは、接種条件、栽培環境等の違いと考えられる。 |
| 4. |
グラディオトロンは、外気温追従型チャンバーで、日周期や日々変動のある気象条件下で生育データをとれるため、圃場での現象解明と予測手法の開発に有効である。 |
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