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2003年は2002年よりも牧草が雪に覆われる積雪10cm以上の期間が長く、1月以降の低温(表1)のため、越冬時の葉枯れが著しく、出穂日が遅く、収量が低い(表2)。生産力検定試験での越冬時の葉枯れは褐色小粒菌核による雪腐病が主たる要因である。 |
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青森県以外の北海道・東北地域で奨励または準奨励品種となっているマンモスBと比べてナガハヒカリなど北陸農試育成の耐雪性品種・系統は越冬時の葉枯れが明らかに少ない。2倍体品種・系統とマンモスBは越冬時の葉枯れが甚だしい。(表2) |
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乾物収量においてはナガハヒカリの他に、温暖地向け品種のヒタチヒカリやアキアオバもマンモスBやエースより明らに高い。特に、冬季雪に覆われる期間が短い2002年にはヒタチヒカリが多収で、耐倒伏性にも優れる()。 |
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個体植でも冬季雪に覆われる期間が短い2002年にはヒタチヒカリとアキアオバがナガハヒカリよりも地上部個体重が有意に大きく、低温で積雪期間が長い2003年にはナガハヒカリが安定して越冬し、地上部乾物個体重も同等になる(図1)。 |
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以上のことから、寒冷地で冬季雪に覆われる期間が60日程度ではヒタチヒカリとアキアオバが多収であり、80日程度では耐雪性に優れるナガハヒカリが安定して越冬する。このような越冬条件に合致する地域で、これらの品種を導入することによって、イタリアンライグラスの反収の増大が図れる。また、耐寒・耐倒伏性多収品種育種のため、ヒタチヒカリとナガハヒカリなどの越冬性系統が有用な素材となる。 |