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| [背景・ねらい] |
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食の安全性に対する社会的関心の高まりに伴い畜産農家からは有機栽培の飼料、とりわけトウモロコシへの要望が増加している。リビングマルチ(LM)とは、主作物の畦間に被覆植物を導入して、土壌浸食や雑草の抑制を図るとともに、これを緑肥としても利用する栽培法であり、トウモロコシの有機栽培に応用可能な有望な技術のひとつと考えられる。そこで、シロクローバ(WC)を被覆植物としたLM栽培のトウモロコシに対する雑草防除効果と地力向上効果を明らかにする。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
被覆植物としてあらかじめ定着させておいたWCをフレールモア等で刈り払い・細切した後、トウモロコシを不耕起播種すれば、除草剤なしで雑草を防除することが可能である。しかし、被覆植物としてのWCは雑草だけでなくトウモロコシの生育も抑制し、この抑制力はトウモロコシの播種期が早いほど強まるため、早播きでの多収は望めない。WCによるトウモロコシへの生育抑制を軽減し、かつ雑草を確実に防除するには、5月下旬以降にトウモロコシを播種する必要がある(表1)。 |
| 2. |
WCを被覆植物としたLM栽培下では、WCからトウモロコシに窒素を移譲させることができるが、窒素移譲効果はWCの播種期によって大きく変動する。高い窒素移譲効果を得るには、トウモロコシ播種前年の8月下旬までにWCを播種する必要がある。9月以降またはトウモロコシ播種当年の播種では、LM栽培はむしろ窒素欠乏の要因となる(表2)。 |
| 3. |
WCを被覆植物としたLM栽培を行うと、リン酸肥沃度の低い圃場であっても、トウモロコシにリン酸欠乏が起こりにくくなる(表3、図1)。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
除草剤を用いない雑草防除技術、およびその際の肥培管理技術を開発する上での基礎知見として活用できる。 |
| 2. |
不耕起播種機としてはトウモロコシ専用機種が市販されているが、より安価な米麦用の機種を流用することも可能である。 |
| 3. |
本情報は、東北北部平坦部(盛岡市)においてWCの品種フィアを用いて得られたものである。 |
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