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| [背景・ねらい] |
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夏秋期(7−10月)におけるイチゴの国内生産量は非常に少なく、品質の良い国産イチゴの増産が求められている。東北地域の夏季冷涼な気候を利用して、短日処理のみによる低コストな夏秋どり栽培が可能であることは、品種‘女峰’を用いて既に知られているが、最近の主力一季成り性品種の短日処理への適応性については明らかでなかった。そこで、‘とちおとめ’、‘さちのか’等の品種の花芽分化に要する短日処理期間について明らかにする。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
促成栽培用の早生品種‘さちのか’および‘とちおとめ’に8時間日長の短日処理を行った場合の花芽分化時期はほぼ‘女峰’と同等で、通常処理開始から約30日後に分化が確認できる(図1、2)。 |
| 2. |
露地・半促成栽培用の休眠の深い品種‘北の輝’では、これらの早生品種より約10日程度花芽分化が遅れ、短日処理の日数は40〜45日程度となる(図1、2)。 |
| 3. |
盛岡市において、図3に示すようなトンネルに遮光資材(ホワイトシルバー100等)を展張し、冷房装置等を伴わない簡易な短日処理施設で8時間日長(9:00〜17:00)の処理を行った場合、外気温との気温差はわずかである(図4)。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
本試験における短日処理は、5月中旬〜下旬に2〜3葉齢のランナー苗を10.5cm径のポリポットで受け、ランナー切り離し後3〜5週間雨よけハウス内で育苗したのち、6月下旬〜7月上旬に開始している。この場合、9月下旬から収穫が始まる。 |
| 2. |
短日下におけるイチゴの花芽分化は温度の影響を強く受ける。本試験は盛岡で行ったものであり、地域による温度差や気象の年次変動等により、分化までの処理期間は増減すると考えられる。例えば、2003年のように気温が低ければ、花芽分化は上記よりも数日早まる。よって、定植は必ず茎頂の検鏡によって花芽分化を確認した後に行うようにする。 |
| 3. |
短日処理により夏秋どりした‘北の輝’の11月以降の収穫果実には、裂果や着色不良果の発生することがある。 |
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