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大豆の全粒・非破壊による高豆腐破断強度系統の簡易選抜法


[要約]
  全粒大豆を近赤外分光分析法で測定することにより、豆腐破断強度を簡易・迅速に推定でき、育種選抜に利用できる。
[キーワード]
  ダイズ、全粒大豆、近赤外分光分析法、豆腐、破断強度
[担当]東北農研・水田利用部・大豆育種研究室
[連絡先]電話 0187-75-1084、電子メール k41523@affrc.go.jp
[区分]東北農業・畑作物、作物・夏畑作物
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
  豆腐は国産大豆利用の大半を占め、その加工適性が高い品種の育成が求められている。豆腐加工適性のうち最も重要な豆腐破断強度と子実粗蛋白質含有率の間には比較的高い正の相関関係が認められるため、従来、育成段階では豆腐破断強度の目安として子実中の粗蛋白質含有率が利用されてきた。しかし、子実粗蛋白質含有率の高い大豆が必ずしも豆腐破断強度が高くはないため、最終的には実際に豆腐を製造しなければならず、極めて多労であり多数のサンプル測定が困難である。そこで、近赤外分光分析法による豆腐破断強度の簡易迅速推定法を開発する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 豆腐破断強度推定検量線を表1の条件で作成した。検量線作成用100サンプルの実測値と検量線による推定値との間には、重相関係数0.860(1%水準で有意)の高い相関関係がみられる(図1)。検量線標準誤差SEC=12.42である。
2. 検証用40サンプルの豆腐破断強度実測値とこの検量線による推定値の相関係数は、0.818(1%水準で有意)である(図2)。本検量線により、全粒大豆の状態で豆腐破断強度を非破壊的に推定できる。予測標準誤差SEP=14.69である。
3. 検証用サンプルの子実粗蛋白質含有率45%以上の高蛋白サンプルにおいて、豆腐破断強度推定値と実測値(図3左)の相関(R=0.735、1%水準で有意)は、粗蛋白質含有率と豆腐破断強度実測値(図3右)の相関(R=0.450)よりは高い。よって本検量線により高蛋白系統の豆腐破断強度をより正確に推定できる。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 本推定法により育成中期世代から豆腐破断強度の系統選抜が実施できる。
2. 本推定法は凝固剤にGDLを使用したときの豆腐破断強度推定に限られる。
3. 検量線作成用サンプルには色豆、極小粒大豆を用いていないため、本推定法はこれらに適用できない。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 豆腐加工適性に関わる子実特性に対する環境変動の影響解明および育種選抜用簡易評価法の開発
課題ID: 05-02-06-*-10-03
予算区分: ブラニチ2系
研究期間: 2001〜2005年度
研究担当者: 河野雄飛、高田吉丈、境哲文、島田信二、湯本節三