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越夏性選抜後代の育成経過を図1に示す。試験に用いた品種エバーグリーン(EG)とタンデム(TD)の基礎集団における2001年の越夏後草勢(評点値、良:9〜不良:1)は、枯死(評点1)及び極めて生育不良(評点2)の個体をそれぞれ29%及び10%含むなど変異が大きい。なお、品種の平均値は、EG及びTDにおいてそれぞれ3.76及び4.73であるが、後代検定で用いる選抜個体の平均値はそれぞれ6.00及び5.83となり、1ポイント以上の選抜が可能である(図2)。 |
| 2. |
2003年における後代検定の結果、EGから選抜した8個体の多交配後代(PT-EG8)とTDとパウリタから選抜した8個体によるTD由来の多交配後代6母系(PT-TD6)における平均値は5.63と6.47であり、同年における親品種の越夏後草勢(EG平均値:4.57及びTD平均値:5.32)と比べて有意差が認められる(表1)。また、これらの数値より推定される越夏性の遺伝率(h2)は、それぞれ0.48及び0.79(参考値)である(表1)。 |
| 3. |
2001年において越夏後草勢により選抜した個体(EG平均値:5.58及びTD平均値:5.62)で放任受粉させ、EG11系統(YT-EG11)及びTD14系統(YT-TD14)を作出して生産力検定を行った結果、選抜系統は親品種と比較して、2003年の越夏後収量(3及び4番草)が有意に高く、選抜効果が認められる(表2)。また、1番草の収量は減少していないことから、越夏性と初期生長性は独立した選抜が可能である。 |