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| [背景・ねらい] |
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フェストロリウムは高い環境耐性と高品質・嗜好性を兼ね備えた新草種として期待され、海外においては既に品種が作出されている。国内でも東北地域向け品種の育成が現在進められているが、本草種の寒冷地での適用を検討するためには、まず既存品種の栽培特性を解明する必要がある。そこで主要な既存3品種について、耐寒性、雪腐病耐性、耐湿性および収量性を、既に広く普及している数種寒地型牧草と比較する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
品種フェリーナはオーチャードグラスの中生品種オカミドリとほぼ同時期に出穂する。品種パウリタの出穂はこれより7〜8日遅く、品種エバーグリーンではさらに2〜3日遅い(表1)。 |
| 2. |
品種フェリーナは耐寒性と紅色雪腐病耐性のいずれもオーチャードグラス並に強い。品種パウリタは耐寒性は弱いが、紅色雪腐病耐性はオーチャードグラス並に強い。品種エバーグリ−ンは耐寒性と紅色雪腐病耐性のいずれもイタリアンライグラス並に弱い。(表2)。 |
| 3. |
耐湿性は3品種ともペレニアルライグラスやイタリアンライグラス並に強い(表2)。 |
| 4. |
3品種とも播種後数年で衰退するような永続性に劣る品種ではなく(図1)、年3回刈りでの収量性は、品種エバーグリ−ンと品種パウリタはオーチャードグラスのオカミドリ並であり、品種フェリーナはこれらを上回る。しかし、いずれの品種もチモシーのクンプウより低収である(図2)。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
フェストロリウム主要3品種の寒冷地への導入適性を評価する際の基礎知見として活用できる。 |
| 2. |
新品種育成時に賦与すべき環境耐性と乾物生産性の目標として活用できる。 |
| 3. |
エバーグリ−ンは国内種苗会社による販売が行われているが、パウリタとフェリーナの入手には、販売ロット単位の輸入契約が必要である。 |
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