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| [背景・ねらい] |
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地域産業創出につながるコムギ品種開発のためには、製パン、製麺等の加工特性の改良が必要である。それら加工特性には、明らかに品種間差が存在するが、それら差の原因となる具体的形質、さらにそれら形質を支配する遺伝子の関係は、まだ十分になされていないのが現状である。各種加工適性に関与すると考えられる候補遺伝子をスクリーニングする方法として、マイクロアレイにより種子の形成過程で発現する遺伝子(群)の発現を、器官(胚乳、胚等)、時期(開花直前〜完熟期)、品種間で網羅的にモニターし、その発現パターンの差を使う方法が考えられる。しかしながら、そのような目的に使えるDNAチップは世界的に見ても開発されていない。そこでコムギ種子の遺伝子発現用のDNAチップを開発する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
本DNAチップには、コムギ品種Chinese Springの開花直前から開花後45日までの種子組織由来のcDNAライブラリより得た2624クローンを、cilylateスライドに各クローン4スポット(上下2段、左右2ブロック)で、2枚のスライドグラスに分けてプリントしたものである(図1)。 |
| 2. |
本DNAチップ上の2624クローンのうち、2096遺伝子(表1)は、独立遺伝子であり、それらのうちBLAST検索等で機能が推定されたものは約77%であり、貯蔵タンパク質、多糖合成酵素、ストレス誘導系、などであった。残り23%の遺伝子に関しては機能不明であり、その多くは、イネのゲノムシークエンスに高い相同性を示す遺伝子である。 |
| 3. |
本DNAチップには、内部標準用遺伝子としてCAT、 GUS、 Keratine、TGEVnp (ブタのウイルスのcapsidタンパク)、Strapt avidin、 Laminin receptorをプリントしてある。 |
| 4. |
ハイブリダイゼーションは、Clontech社のExpressHyb溶液を使い60℃、14時間、洗浄は、SSC及びSDSを使い55℃で行った場合(図2)、最も良いハイブリパターンが得られる。また、2枚のスライドグラスは接着性のスペーサーを使うことにより、ハイブリ溶液は1枚のスライド分で済む。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
本DNAチップは、コムギ種子組織(胚珠、胚乳、胚、果皮)の発達過程で発現する遺伝子のアレイ解析に有効である。 |
| 2. |
ターゲットRNAは、Cy3、Cy5の2蛍光標識でアレイ実験を行う。蛍光標識は直接法では無く、アミノアリルdUTPを用いた間接標識法で行う。 |
| 3. |
アレイ実験においては、データの信頼性を高めるため、プリントされた内部標準遺伝子より逆転写したRNA複数をターゲットRNAに一定量加えて行うべきである。 |
| 4. |
使用するRNAは、 BioAnalyzer等の機器により、品質をチェックし、リボゾーム28Sと18Sの比率が1.5以上のものを使用することが望ましい。例えば、胚乳組織のRNAは開花25日以降大幅なRNAの分解が見られ(図3)、アレイ実験を行う場合は注意を要する。 |
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