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遮光がほうれんそうの生育に及ぼす影響


[要約]

 6〜8月播種作型におけるほうれんそうの株充実は、播種1週間目及び2週間目以降の毎時積算日射量と高い相関を示す。また、寡日照条件下で遮光率30%の資材を使用した場合、慣行と同程度の株充実度を得るには、播種後2週間で資材を除去する必要がある。

[キーワード]

ホウレンソウ、株充実度、日射量

[担当]岩手農研セ・県北農業研究所・産地育成研究室
[連絡先]電話 0195-47-1070、電子メール kondamwk@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 夏期高温期の生育を安定させるには遮光が重要な技術であるが、現在岩手県において慣行技術として行われている出芽揃いまで遮光率50%の資材で遮光する方法では、高温状態が続く場合、資材の除去時期の判断が難しく、過度の遮光による徒長や除去後の急激な乾燥ストレスなどの問題がある。そこで、日射量がほうれんそうの生育に与える影響と、遮光率30%の資材を用いた遮光方法について検討した。
[成果の内容・特徴]
1. 株充実度として[調製(生)重÷草丈]で表した場合、播種1週間目以降及び2週間目以降の毎時積算日射量と高い相関を示す(図1、2)。
2. 寡日照条件下で遮光資材を用いることにより株充実度は低くなり、遮光率の高い資材ほど株充実度は低下する(図3)。
3. 寡日照条件下で遮光率30%の資材を使用した場合、慣行に近い株充実度になるのは、播種後2週間で資材を除去した場合である(表1)。
[成果の活用面・留意点]
1. 本試験で使用した品種は「アクティブ」であり、他品種では異なった生育を示すことが考えられる。
2. 本成果は、平成13〜15年のような寡日照条件下(播種1週間後から収穫までの毎時積算日射量が概ね200〜400MJ以下)で、岩手県北地域における試験結果をまとめたものであり、気象条件が異なる地域や他の作型などにおける活用には留意が必要である。
3. 本試験では土壌水分が生育に与える影響については考慮していない。
4. 岩手県の出荷中心規格である草丈25〜28pの株12〜13本で1袋210gを作る場合、必要な株充実度は0.6(例:草丈27pのとき調製重16.2g)で、このとき必要な毎時積算日射量は1週間目以降では330MJで、2週間目以降では220MJである(図1、2)。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:雨よけほうれんそう大型経営体育成のための技術確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:佐藤美和子、茂市修平、高橋昭喜