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イチゴ促成栽培における深層地中加温装置の導入効果


[要約]

 高温期に25日間程度、深層地中加温を行いながら太陽熱消毒を行うことによって土壌線虫の防除をすることができる。また、冬期間の地中加温により生育促進効果が認められ、「さちのか」「とちおとめ」の収量、一果重が向上する。

[キーワード]

深層地中加温、土壌線虫、イチゴ、収量、一果重

[担当]宮城農園研・園芸栽培部・野菜チーム
[連絡先]電話 022-383-8132、電子メール marc-kk@pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・野菜花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 イチゴ栽培では土壌病害虫防除のために土壌消毒が行われるが、化学薬剤に代わる消毒方法が望まれている。また、冬期間の生育促進を目的に地中温湯加温装置が利用されている。そこで、新しい深層地中加温装置を利用し、夏期は太陽熱消毒と組合せ土壌消毒効果を高めること、冬期間は地中加温による生育促進を図る目的で栽培技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
1. 深層地中加温装置は、放熱チューブを深さ50cm、幅60cm間隔に埋設し、約70℃の温媒を循環させる。
2. 高温期に深層地中加温と太陽熱を利用すると、処理後10日程度で土壌温度は40 ℃以上に上昇する。25日間程度の処理によって地表下 15〜60 pの45℃以上累積温度遭遇時間は129〜357時間となり、土壌中の線虫密度を減少させることができる(表1、図1)。
3. 冬期間(12〜4月)の地温を17〜18℃に加温することで、「とちおとめ」、「さちのか」の生育が促進され、収量は22%程度増収し、一果重も向上する(図2、表2)。
[成果の活用面・留意点]
1. 土壌消毒を始める前に耕起し、土が充分に湿るくらいかん水した後、土壌表面をビニールで隙間なく被覆する。また、ハウス周辺へ厚さ1センチのウレタン断熱材を地表下40pまで埋設することで土壌消毒効果、保温効果が向上する。
2. 夏期加温中の灯油消費量は、2、600リットル/10a・26日である。冬期間の加温区灯油消費量は2、660リットル/10a・110日である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:地域特産野菜の生産拡大技術の確立 地中加温装置を利用した土壌消毒技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2002年度
研究担当者:鹿野弘、大沼康、高橋晋太郎、菅野秀忠、宮田将秀