研究所トップ研究成果情報平成15年度

栽培が容易で食味の良い、夏系のアールス系メロン新品種候補「秋試交24号」の育成


[要約]

 地床栽培可能な、夏系の赤肉アールス系メロン「秋試交24号」を育成した。先に育成した緑肉アールス系メロン「秋田甘えんぼ」と父本が同じで、抑制作型で栽培しやすく、果肉が橙色で食味が良い。

[キーワード]

夏系、赤肉、アールス系メロン、秋試交24号

[担当]秋田農試・野菜花き部・園芸育種担当
[連絡先]電話 018-881-3317、電子メール n-tsubaki@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 2000年に発表した緑肉アールス系メロン「秋田甘えんぼ」は、食味の良さから本県の抑制メロンの主要品種となり、その栽培面積も増加している。一方、北海道産の「夕張メロン」をはじめとした赤肉メロンの需要も依然として多い。そこで「秋田甘えんぼ」の食味を受け継ぐ赤肉アールス系メロンを育成する。
[成果の内容・特徴]
1. 「秋試交24号」はアールス系メロンと純系アールスのF1である。母本は「クレスト春秋系」に「パリス春II」を交配し、その後代を選抜固定したアールス系で、果肉が橙色で果実外観と日持ち性に優れ、うどんこ病に強く、つる割病の抵抗性を保持している。父本は「秋田甘えんぼ」と同じく、純系アールスの一品種「Earl's F.夏系」の選抜固定系統で、極めて食味が良い(図1)。
2. 生育特性は、「秋田甘えんぼ」より草丈が高く、開花までの日数がやや短い。両性花の着生が高率で着果も安定しており、収穫期まで葉色が濃く、草勢が強く維持されるため、栽培しやすい(表1)。
3. 病害抵抗性は、「秋田甘えんぼ」と同様に、つる割病(レース0、レース2)に抵抗性で接ぎ木が不要であり、うどんこ病に対しては中程度の抵抗性を示す(表1)。
4. 果実外観特性は、大きさが適度で果形は球形に近い。果皮色は灰緑、ネットはやや高で縦と横のバランスが良い(表2、図2)。
5. 果実内容特性は、果肉が橙色で、肉質が緻密な溶質で純系アールスに極めて近く、食味が良い(表2、図2)。
[成果の活用面・留意点]
1. 「秋田甘えんぼ」と同様に夏系に分類され、果実肥大期が高温期にあたるハウス抑制栽培(4月下〜7月上旬播種、8月下〜10月下旬収穫)に適する。
2. 同一の栽培条件では、「秋田甘えんぼ」とほぼ同一外観の果実を収穫できることから、大きさを揃えた緑肉メロンと赤肉メロンのセット販売が可能となる。
3. 2003年度中に品種登録の申請を予定している。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:戦略野菜・地域特産野菜等の新品種育成
予算区分:県単
研究期間:1994〜2003年度
研究担当者:椿信一、檜森靖則、佐藤孝夫