栽培が容易で食味の良い、春系のアールス系メロン新品種候補「秋試交12号b」、「秋試交12号c」の育成
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[要約] |
地床栽培可能な、春系のアールス系メロン「秋試交12号b」(緑肉)、「秋試交12号c」(赤肉)を育成した。共に、低温条件下の半促成作型で肥大力が旺盛で栽培しやすく、食味が良い。
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[キーワード] |
春系、アールス系メロン、秋試交12号、緑肉、赤肉
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[担当]秋田農試・野菜花き部・園芸育種担当
[連絡先]電話 018-881-3317、電子メール n-tsubaki@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい] |
2000年に発表した夏系の緑肉アールス系メロン「秋田甘えんぼ」は、食味の良さから本県の抑制メロンの主要品種となり、その栽培面積も増加している。しかし出荷期が8月下旬〜10月下旬と限定されるため、メロンの需要が高い7月中旬〜8月中旬に収穫できる半促成栽培に適したアールス系メロンの品種開発の要望も強い。そこで「秋田甘えんぼ」と同様に食味の良い春系のアールス系メロンを育成する。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
「秋試交12号b」、「秋試交12号c」はアールス系メロン間のF1である。母本は市販のF1品種と「Homegarden」を素材として交配育成した緑肉アールス系で、肥大力が強く、果肉質が純系アールスに近く食味が良い。父本は市販のF1品種を素材として交配育成したアールス系で、果実外観と日持ち性に優れ、緑肉と赤肉の2系統がある(図1)。 |
2. |
生育特性は、共に草丈が低く、葉が小さくコンパクトな草姿である。また、両性花着生率が高く、着果が安定しており、栽培しやすい(表1)。 |
3. |
病害抵抗性は、共につる割病(レース0、レース2)に抵抗性で接ぎ木が不要であり、うどんこ病に対しては極めて強い抵抗性を示し、収穫期までほとんど発病しない(表1)。 |
4. |
果実外観特性は、共に大きさが適度で果形が球形に近い。果皮色は灰緑で、ネットはやや太、やや高で縦と横のバランスが良い(表2、図2、図3)。 |
5. |
果実内容特性は、果肉が「秋試交12号b」は白黄緑色、「秋試交12号c」は橙色である。共に、糖度が高く、肉質が緻密な溶質で純系アールスに極めて近く、食味が良い(表2、図2、図3)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
低温肥大性に優れ、ハウス半促成栽培(3月上〜4月中旬播種、7月中〜8月中旬収穫)に適する。 |
2. |
同一の栽培条件では、「秋試交12号b」、「秋試交12号c」は同一外観の果実を収穫できることから、大きさを揃えた緑肉メロンと赤肉メロンのセット販売が可能となる。 |
3. |
2003年度中に品種登録の申請を予定している。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:戦略野菜・地域特産野菜等の新品種育成
予算区分:県単
研究期間:1994〜2003年度
研究担当者:椿信一、檜森靖則、佐藤孝夫
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