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ネギのセルトレイ育苗における出芽揃いの要因解析と収穫物への影響


[要約]

 ネギのセルトレイ育苗では、出芽が不揃いだと個体間に生じた生育差は収穫時まで影響し、特に同一セル内での不揃いの影響が大きい。播種後6日時点の出芽率には温度、土壌水分、播種深度、種子の大きさが有意に関与しており、特に土壌水分の影響が大きい。

[キーワード]

ネギ、育苗、セルトレイ、出芽揃い

[担当]秋田農試・野菜花き部・野菜担当
[連絡先]電話 018-881-3316、電子メール s-takeda@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ネギ作業省力化のための機械移植では、専用セルトレイ育苗が前提となる。地床育苗では苗取りの際に苗を選別できるが、セルトレイ育苗では播種、出芽した苗はそのまま移植される。そこで、セルトレイ育苗での出芽の不揃いが収穫物に及ぼす影響を明らかにするとともに、出芽に影響する要因を解析し、出芽率向上条件を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1. 2粒同時に出芽した区では、調製重がほぼ同一規格に収束する傾向があるのに対し、出芽が不揃いな場合は、二極に分散する(図1)。
2. 出芽が不揃いな場合の調製重のばらつきは、出芽時期の違いの影響が大きい。また、出芽がセル間で不揃いな場合と比較して、セル内で不揃いな場合、よりばらつきが大きい(図1、表1)。
3. 播種後6日目の出芽率には、土壌水分、温度、播種深度、種子の大きさが有意に関与している。特に土壌水分要因は播種後3日、6日、10日とも、出芽に有意に影響する(表2)。
4. ネギの出芽率は、種子が大きく、出芽まで温度を高め(25℃)にし、播種深度は5mm程度、土壌水分は過湿にならないようにすることで、播種6日後で95%が期待できる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1. 機械移植用セルトレイに限らず、ペーパーポットなど小容器育苗での初期の出芽揃い向上を図ることができる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:ネギの移植適性要因の解明と移植適性に優れた品種の選定(ブランド・ニッポン)
予算区分:受託(野菜茶研)
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:武田悟・本庄求