東北日本海側におけるイチゴ促成栽培のための低コスト花成誘導法
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[要約] |
夏季が比較的高温の東北日本海側地域において、イチゴの花成を安定して誘導するためには、終日75%遮光の日除け条件下で、散水、送風装置を組み合わせた簡易なシステムで35日間の短日処理を行う。
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[キーワード] |
イチゴ、花成誘導、短日処理、促成、東北日本海側
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[担当]山形園試・野菜花き研究部、環境研究部
[連絡先]電話 0237(84)4125、電子メール saitokenji@pref.yamagata.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい] |
東北太平洋側の夏季冷涼な地域のイチゴ促成栽培には、短日処理のみによる花成誘導法が導入されつつある。東北日本海側地域では、夏季が比較的高温のため、エアコン等の冷却装置を用いた夜冷短日処理が行われているが、冷却装置が高価なため産地の拡大や新規参入が困難になっている。そこで東北日本海側地域で安定的に花成誘導できる低コストな装置の開発を行う。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
本システム(山形方式)は、75%の遮光資材を展張したパイプアーチの中に、短日処理用の大型トンネルを設置し、かん水と暗期の植物体温低下を兼ねて散水装置と換気扇を組み込んだものである(写真1)。散水は9時、15時、1時の3回(1回あたり15分間)、換気扇による送風は暗期間連続で行う。 |
2. |
本システムでは、7月中下旬から9〜17時の8時間日長で35日間処理することにより、安定的に花成誘導が可能である(表1)。 |
3. |
本システムを活用できる地域・時期の目安は、処理期間中の日平均外気温が26℃以下である(表1)。 |
4. |
暗期には、トンネル内の昇温を防止するため送風を行い、植物体への散水を組み合わせることにより、葉表面温度が低下して、花芽分化が促進される(表2)。 |
5. |
7月上旬処理開始では、収穫は10月中旬から、7月下旬処理開始では11月中旬から収穫開始となる。冷夏であった2003年でも短日のみの花成誘導より収穫が約10日早まる(表3)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
トンネル密閉時は、外部からの光は完全に遮断する。 |
2. |
本システムは‘さちのか’、‘章姫’、‘とちおとめ’の促成用品種に対して効果は確認済みである。 |
3. |
短日処理による花成誘導に適する育苗時のN施肥量は容量130mlのセルトレイ使用時で、用土1リットル当たり400mg、育苗日数は55日である。 |
4. |
散水量が多すぎると、小苗では芽枯れ病が発生しやすい。 |
5. |
本システムの初期導入経費は5000株生産当たり12万6千円ある。遮光資材の支持具(パイプアーチ等)を新たに購入しない場合は、5000株生産当たり10万1千円である。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:施設野菜高収益・高度利用技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:齋藤謙二 佐藤之信
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