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枝物花木「スモークツリー」「シンフォリカルポス」の仕立て法


[要約]

 スモークツリーは主枝から10p位置で剪定し、仕立本数は1樹当り21〜30本で枝仕立を実施すると切り枝品質が向上する。シンフォリカルポスは、地上高10p位置で台刈し、枝仕立を実施すると切り枝品質が向上する。

[キーワード]

花き、枝物花木、スモークツリー、シンフォリカルポス、仕立て法

[担当]岩手農研セ・園芸畑作部・花き研究室
[連絡先]電話 0197-68-4419、電子メール CE0008@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・野菜花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 枝物花木類は寒冷地に適すると考えられるが、生理生態や栽培技術については未解明な部分が多い。
 また、スモークツリー、シンフォリカルポスは放任管理では新梢の発生数が多いため、充実した枝の減少や収穫時の品質低下の発生が予想される。
 そこで、高品質な切り枝の収穫を目的とし、剪定位置及び仕立条件を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1. スモークツリーは主枝から約10p位置で剪定し、放任で管理すると、100p位置で剪定した場合に比較して切り枝長は向上する(表1)。また、放任の場合は切り枝長は長くなるが切り枝径が太くなり、商品価値が低下する(表1)。
主枝から10p位置で剪定を行い、さらに翌春に枝仕立を実施して枝数制限すると、切り枝長、花房数は放任区より優れ、商品枝率は向上する(表2)。枝仕立本数は収量を考慮すると「ファー2レッド」は1樹当り21本(1主枝当り7本)、「ピンクファー」は30本(1主枝当り10本)が適する(表2)。
2. シンフォリカルポスは、台刈位置0p(地際)で剪定を兼ねた台刈りを実施すると新梢数は減少し(表3)、切り枝品質は優れるが収量が低下する(表4)。
地際から10p位置で台刈すると、新梢の発生数は多くなる(表3)。また、枝仕立を実施して枝数制限すると、放任に比較して切り枝長及び側枝数が向上し、側枝が10本以上着生した枝の本数割合も多くなる(表4)。
[成果の活用面・留意点]
1. 供試したスモークツリーは、主枝3本に仕立てた成木である。
2. スモークツリーの新梢伸長は9月上旬には停止するため、収穫後なるべく早く剪定し、枝長の確保に努める。
3. シンフォリカルポスの新梢発生数は品種により異なるため、枝仕立本数は株の樹勢や台刈後の萌芽状況に応じて調整する。
4. シンフォリカルポスの台刈りは、前年の積雪前または翌年の融雪後の萌芽前に実施する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:寒冷地における枝物花木類の栽培技術体系の確立
予算区分:国庫新技術
研究期間:2000〜2003年度
研究担当者:葛巻美知子、小田島雅、児玉勝雄、渡辺愛美、阿部潤