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サクラ「啓翁桜」のジベレリンによる休眠打破・小花品質向上効果


[要約]

 サクラ「啓翁桜」の早期促成枝に対する休眠打破処理法として、温湯処理後にジベレリン25〜50ppm散布を併用する方法は、開花率向上効果がある。また、花梗の伸長と花弁の展開が良くなり観賞時の装飾性が向上する。

[キーワード]

サクラ、啓翁桜、促成、休眠打破、ジベレリン、品質向上

[担当]山形園試・野菜花き研究部
[連絡先]電話 0237-86-4162、電子メール engei@pref.yamagata.jp
[区分]東北農業・野菜花き(花き)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 サクラ「啓翁桜」は年内から4月まで出荷が求められているが、年内〜年明けの早期出荷では開花が不安定で、有効な休眠打破処理法が必要である。そこで、この時期に出荷する早期促成枝に対する適切な休眠打破処理法を開発する。
[成果の内容・特徴]
1. サクラ「啓翁桜」の温湯+ジベレリン処理は、早期促成枝に対して開花率が向上し、休眠打破処理法として有効である(表1,2)。
開花率80%以上になるジベレリンの使用は、8℃以下500〜800時間低温遭遇した時期に行い、温湯処理(40℃・60分)直後に濃度25〜50ppm液を散布する。
2. 温湯+ジベレリン25〜50ppm処理した早期促成枝の小花の品質は花径が大きく、展開がよくなる。また、花梗もスムーズに適度に伸長し、装飾性に優れる(表1,2)。
[成果の活用面・留意点]
1. サクラの休眠打破処理に対するジベレリンは2003年3月に登録された。使用法は、温湯処理との併用処理でジベレリン濃度25〜50ppmの散布である。ジベレリンの費用は2〜4円/本である。
2. ジベレリンの使用濃度を厳守し、枝全体が十分濡れる程度(目安:20cc/本)散布すること。
3. 休眠終了後の枝では花梗が伸びすぎ、品質が悪化する。
4. 年内出荷は12月1半旬に低温遭遇量(8℃以下積算時間)が500時間に達する地域に適用する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:枝物花木の栽培法と高品質安定生産技術の開発
予算区分:国庫(新技術)
研究期間:2000〜2001年度
研究担当者:佐藤武義、小野恵二
発表論文等:佐藤武義ほか(2002)東北農業55:263-264