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本暗渠間隔の広幅化と弾丸暗渠の施工による輪換畑の排水性簡易回復手法

[要約]

暗渠排水機能が低下した輪換畑では、本暗渠を40m間隔で施工し、弾丸暗渠を密に組み合わせることで、本暗渠間隔10mの現行輪換畑に比べ、降雨後の土壌の乾燥が1〜2日遅れる程度まで、排水機能が回復する。水稲収穫時の落水後の地耐力の発現は、現行ほ場と変わらない。

[キーワード]

暗渠排水、機能低下、弾丸暗渠、水田輪作

[担当] 宮城古川農試・土壌肥料
[連絡先] 電話 0229-26-5107,電子メール mpost@faes.pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・作業技術
[分類] 行政・参考

[背景・ねらい]
農業農村整備事業は、適切な機能診断と予防保全対策を実施することにより、農地および農業用施設を持続的に有効活用する内容に変わりつつある。輪換畑の排水機能についても、暗渠施工後10年以上経過したものについては、排水機能診断および排水不良による生産性低下の予防対策が求められている。そこで、暗渠排水機能が低下した輪換畑における簡易な排水機能の回復手法について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 弾丸暗渠が密に施工され本暗渠間隔が40mおよび80mの輪換畑では、降雨後の土壌水分張力の上昇が、同じく弾丸暗渠を密に施工した本暗渠間隔10mの輪換畑(現行ほ場)に対して、約1〜2日遅れる程度まで、排水機能が回復する。本暗渠を施工しない場合(暗渠排水機能が低下した輪換畑)は、現行ほ場に対して、約7〜10日遅れる(図1)。
  2. 本暗渠間隔40mおよび80mのほ場の2年間(2003〜2004年)の大豆の収量および品質は、現行ほ場と同等である (図2)。
  3. 水稲収穫時の落水後における本暗渠40m間隔ほ場の土壌水分張力の変化は、現行の10m間隔ほ場と同等である。また地耐力も同等に発現する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 排水機能が低下した輪換畑の機能回復手法の検討に活用される。
  2. 輪換畑の排水機能の診断手法、および排水機能が大豆の初期生育に及ぼす影響の検討が必要である。
  3. 本成果は土壌が細粒灰色低地土で、基本的に1区画の長辺が125m、短辺が80mの1haほ場での試験結果である。
  4. 本暗渠間隔10m、40mおよび80mほ場とは、1区画ほ場の中に、口径50mm本暗渠を8本、口径100mm本暗渠を2本、および1本施工したものである。
  5. 弾丸暗渠は2m間隔とし、弾丸部分が確実に本暗渠の疎水材部分を通過するように施工する必要がある。
[具体的データ]
 
 
[その他]
研究課題名 水稲・大豆・麦を基幹とした大規模水田輪作技術の組立実証
予算区分 県単
研究期間 2001〜2005年度
研究担当者 冠秀昭、千葉克己、星信幸、岩佐郁夫、千田智幸
発表論文等 千葉ら、(2005)農土誌73(7):11-14