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イチゴ促成栽培用品種‘もういっこ’の育成とその特性

[要約]

促成栽培に適し、大果・果重型で、寒冷地においても冬期の草勢が強く、‘とちおとめ’、‘さちのか’と同等または優る収量を確保でき、良質の果実形質を有し、うどんこ病に強い品種‘もういっこ’を育成した。

[キーワード]

イチゴ、促成栽培、新品種、もういっこ、うどんこ病

[担当] 宮城農園研・園芸栽培部・野菜チーム
[連絡先] 電話 022-383-8132,電子メール marc-kk@pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・野菜花き(野菜)
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
宮城県のイチゴ生産は‘とちおとめ’、‘さちのか’を利用した促成栽培が主であるが、‘とちおとめ’は不授精果やうどんこ病、萎黄病、ハダニの発生、‘さちのか’では春先の小果実の多発やうどんこ病ハダニの発生が産地の大きな問題となっている。また、全国のイチゴ産地で品種の重要性が高まる中、東北地域においても寒冷地の気象条件に適応したオリジナル品種の育成が切望されている。
そこで、寒冷地の促成栽培に適し、大果・果重型で冬期の草勢が強く、‘とちおとめ’、‘さちのか’と同等または優る収量が確保でき、良質の果実形質を有した品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
  1. うどんこ病、萎黄病に抵抗性を有する宮城オリジナル母本の‘MN3’{(女峰 ×しずたから)×女峰} を子房親とし、果実品質が優れる‘さちのか’を花粉親として1995年に交配・採種し、選抜を進めた。
    その結果、冬期間の草勢が強く、安定した収量が確保でき、良質の果実形質を有した1系統(系統名95C8-9)を選抜し、‘もういっこ’と命名して平成17年4月1日に品種登録を出願し、受理された(写真1)。
  2. ‘もういっこ’は促成栽培に適し、冬期の草勢が強い。1果房当たりの着花数は11〜12果程度で少ないが、商品果平均1果重は16.3gと大果・果重型品種で、連続出蕾性が高く、うどんこ病に対しては、‘とちおとめ’より強い(表12)。
    収量は‘さちのか’より優り、‘とちおとめ’と同程度〜優り、商品化率果重割合が高い(表2)。
  3. 果実糖度は‘女峰’並の9.0%程度で‘とちおとめ’、‘さちのか’よりやや低いが、糖酸比は15.0と高いため食味は良好で、果実の揃いも良い。また硬度は‘さちのか’と同程度と高い(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 多肥条件で栽培すると果実に縦溝ができやすいので注意する。
[具体的データ]
 
 
 
[その他]
研究課題名 オリジナル品種の育成
予算区分 県単
研究期間 2001年〜
研究担当者 鹿野弘、高野岩雄