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出穂期の窒素追肥が硬質小麦「ゆきちから」の灰分含量に及ぼす影響

[要約]

中華麺用原料に供するためにタンパク質含量の増加を目的とした出穂期の窒素追肥により、ゆきちからの灰分含量は全粒では同等もしくはわずかに高くなるが、ランク区分の許容値を超えることはない。一方,小麦粉の灰分含量は同等または低くなる。

[キーワード]

コムギ、灰分含量、タンパク質含量、窒素追肥、かん水,ゆきちから

[担当]

福島農総セ・作物園芸部、東北農研・パン用小麦研究東北サブチーム

[代表連絡先]

電話024-958-1723

[区分]

東北農業・作物(冬作物)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

硬質小麦「ゆきちから」は主としてパン用に栽培されているが、一部地域では中華麺用での栽培も始まっている。パン用と比べて、中華麺用ではより高いタンパク質含量が求められることに加え、灰分含量を低く抑えること及び小麦粉の色がより重要である。特に灰分含量は栽培条件による差が大きいが、「ゆきちから」では窒素追肥と灰分含量との明らかになっていない。そこで、中華麺用としての「ゆきちから」の栽培技術を確立する一環として、タンパク質含量の増加に有効な出穂期の窒素追肥が灰分含量に及ぼす影響を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 出穂期の窒素追肥によって、「ゆきちから」の全粒の灰分含量は無施用区と比べて同等もしくはわずかに高くなるが,0.6kg/a 施用区まではランク区分の基準値(1.75%)内であり、0.9kg/a施用区でも許容値である1.80%を上回らない。一方、小麦粉の灰分含量は無施用区と比べて同等もしくは低くなり、出穂期の窒素追肥による小麦粉の灰分含量の増加はみられない(図1)。
  2. 出穂期の窒素追肥によって、「ゆきちから」の全粒のタンパク質含量は追肥量に応じて直線的に高くなる(図2)。
  3. 小麦粉のかん水ペーストの明度(L*)の低下には、出穂期追肥による灰分含量の増加ではな く、タンパク質含量の増加が影響している(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本試験に用いた小麦粉は、ブラベンダー式小型テストミルで得られた歩留60%粉を使用したものである。
  2. 本成果での灰分含量は出穂期の窒素追肥によって変動した場合のものであり,他の要因で変動した灰分含量と小麦粉の明度との関係については別途検討が必要である.
  3. VALUE

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
地場産小麦の中華麺適性の解明と安全供給技術の開発
予算区分
高度化事業委託
研究期間
2006-2007 年度
研究担当者
VA二瓶直登、平将人、遠藤あかりLUE