研究所トップ≫研究成果情報≫平成19年度
照度計を用いた大豆個体群の葉面積指数及び地上部乾物重の簡易推定
[要約]
曇天日のような散乱光が卓越した条件であれば、開花期頃までの大豆群落内相対
照度の対数から、葉面積指数、地上部乾物重を簡易に推定できる。
[キーワード]
大豆、ダイズ、開花期、葉面積指数、乾物重、相対照度
[担当]
宮城古川農試・水田利用部・水田輪作班
[代表連絡先]
電話0229-26-5106
[区分]
東北農業・作物(夏畑作物)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
東北地域のような寒冷地における大豆では、開花期までの初期生育の確保が収量に大きな影響を与えることが知られ、生育診断項目として開花期の地上部乾物重と葉面積指数(以降、「LAI」とする)の重要性が報告されているが、それらの測定には乾燥機、葉面積計等の機材および労力が必要で、生産現場での活用は困難である。また、照度計を用いた群落外と群落内の相対照度(以降、「相対照度」とする)の対数とLAIに高い相関があることは報告されているが、実際に推定法として適用する場合の実用性等については十分検討されていない。そこで本試験では生産現場での活用を想定し、比較的安価な照度計(LUX 計)を用いたLAI及び地上部乾物重の簡易推定法を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 開花期頃までの相対照度の対数とLAIには高い負の相関が認められ、相対照度からLAIを推定できる(図1)。
- 開花期頃までの相対照度の対数と地上部乾物重には高い負の相関が認められ、相対照度から地上部乾物重を推定できる(図1)。
- LAIは5 程度まで、地上部乾物重は300g/u程度まで推定できる(図1)。
- 散乱光が卓越している曇天日は日中を通して相対照度が概ね安定しており、太陽高度に関わらず測定可能である(図2)。
- 晴天日は太陽高度が低く、直達光が調査地点まで届かない時刻(日出、日没頃)であれば測定可能である(図3)。
[成果の活用面・留意点]
- 本推定法により生育診断指標である開花期のLAI、地上部乾物重を簡易に推定することで、生育の良否を判断できる。
- 屋外の照度は刻々と変化するため、本試験では照度計を2台用いて大豆群落内と群落外で同時に照度を測定した。使用した照度計はS社製LX2 であり、図4のように照度計の受光部を棒状の機材に固定し、測定者から離すことで測定者自身の影響を最小限にした。測定方法は機材を条間中央部地面に置き、水平を確認した後、測定者はしゃがむなどして体を低くした状態で測定した。
- 品種間差が存在するため、他品種へ適用する場合は品種毎にデータを蓄積し、回帰式を設定する必要がある。
- 本推定法は散乱光が卓越した条件であれば、播種期、株間、畝方向によらず適用できる。ただし、本試験の条間は75 pで行っており、条間が大きく異なる場合は未検証であるため適用されない。
- 本試験における群落外散乱光の最低照度は8.6lx である。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- 水稲・大豆・麦を基幹とした大規模水田輪換技術の組立実証
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2005 〜 2006 年度
- 研究担当者
- 神崎正明、関口道、千田洋、滝澤浩幸
- 発表論文等
- なし