研究所トップ≫研究成果情報≫平成19年度
多雪寒冷地の転換畑におけるナタネと大豆・そばを組み合わせた2年3作体系
[要約]
多雪寒冷地転換畑における、ナタネと大豆またはそばを組み合わせた2年3作体系で、2作目
のナタネと3作目の大豆は晩播となるが、ナタネの収量は標播比8割程度、大豆は標播並の収量を確
保できる。
[キーワード]
油糧作物、晩播ナタネ、2年3作体系、晩播大豆、そば、自生ナタネ防除
[担当]
山形県農業総合研究センター農業環境研究部作物資源開発科
[代表連絡先]
023-647-3500
[区分]
東北・作物(冬作物)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
景観作物利用による地域活性化や、廃食油のBDFを活用した循環型社会形成などの取り組みにより、近年ナタネの作付けが注目されている。ナタネは積雪寒冷地における数少ない土地利用型冬作物であるが、連作障害が発生しやすく、しかも生産性の低い作物である。連作障害を回避し、農家経営として安定する合理的輪作体系の開発が望まれている。
そこで、大豆、そば等の土地利用型作物との組み合わせによる効率的な輪作体系技術を創出し、農家経営として安定させるための新たな輪作体系技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 転作初年目の大豆またはそば収穫後、増肥と厚播により10 月下旬までにナタネを播種することで、標準播種の8割程度の収量が確保できる。
具体的な栽培体系は以下のとおりである。(図1、図3、表1)
- 【ナタネ】
- 播種量:1.5kg〜2kg/10a(散播)。
- 基 肥:12kg/10a(窒素成分)
- 追 肥:融雪期追肥4kg/10a+抽苔〜開花期追肥4kg/10a(窒素成分)。
- ナタネ収穫後、3作目の大豆を7月上旬までに播種し、前作由来の自生ナタネを早期培土により防除を徹底することで標播並の収量を確保できる。そばについては通常播種となり、前作由来の自生ナタネ防除は、そばの初期生育がナタネよりも早いため必要ない。
具体的な栽培体系は以下のとおりである。(図1、表2)
- 【大豆】
- 栽植密度:20.5 本/u。
- 前作由来の自生ナタネ防除:大豆播種後、ベンチオカーブ・ペンディメタリン・リニュロン水和剤散布。大豆2葉期までに、大豆の子葉から初生葉の高さまで、早期培土を行う。(図2)
- 【そば】
- 慣行栽培
[成果の活用面・留意点]
- 導入する大豆は早生種とする。
- ナタネ、大豆とも、播種期の遅延に従い収量が低下するため、前作の収穫後、速やかに播種作業に取りかかる。
- 晩播ナタネの収穫が7月上旬まで完了しない場合は、3作目はそばを導入する。
- 大豆・そば播種前の耕耘は、播種直前または同時に行うことで、ナタネの雑草害が軽減される。
- 早期培土作業は、M 社製の特殊爪を用いると効果的である。特殊爪は、通常の爪より耕耘する幅が広く、外側に行くほど短く配置されている(平成18 年度東北農業研究成果情報「アワ栽培における早期培土を基本とした機械除草体系」参照)。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 多雪寒冷地の転換畑におけるナタネ機械化輪作体系の現地実証
- 予算区分
- 受託
- 研究期間
- 2007(2005〜2007)
- 研究担当者
- 高橋哲史、山川淳