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リンゴ樹の枝葉の混み具合を簡単に評価できる葉群密度判定値
[要約]
「葉群密度判定値」は植栽面積あたり葉面積と相関が高く、リンゴ樹の枝葉の混み具合を簡単に比較でき、樹への薬剤到達性の程度を推定できる。
[キーワード]
栽培管理、リンゴ、葉群密度判定板、樹冠評価
[担当]
果樹研・省農薬リンゴ研究果樹サブチーム
[代表連絡先]
電話019-645-6157
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
我が国でリンゴのわい性台木として広く使用されているM.26 台では、樹が大きくなり、樹冠内部や隣接樹との交差部位などで農薬が到達しづらくなる傾向が認められる。これを解決するために、生産農家では、スピードスプレヤーの散布量や風量を大きくして樹への薬剤到達性を確保している。そのため、園地から外部へ農薬のドリフトが助長されることが懸念されている。一方、ポジティブリスト制の施行に伴い、農薬ドリフト低減可能な樹形の開発が急務となっている。そこで、薬剤到達性を簡単に測定できる樹冠評価法を開発し、農薬ドリフトがなく薬剤到達性のよい樹形の開発に役立てる。
[成果の内容・特徴]
- 葉群密度判定値とは、葉群密度判定板を用いる方法で、具体的には、直径20cm の赤い○印を28 個(4 個× 7 列)書き入れた縦90cm ×横160cm のベニヤ板(試作品)を測定者の反対側の作業道に立て、測定者側から樹冠内部を通して見える赤い○印の頻度具合を達観調査し、数値として表す手法である(図1、図2)。
- 葉群密度判定板による葉群密度判定値と植栽面積あたり葉面積との間に相関関係がみられ(図3 A)、樹冠内の枝葉の混み具合を評価できる。
- 葉群密度判定板による葉群密度判定値と薬剤到達性との間に相関関係がみられ(図3 B)、樹への薬剤到達性の程度を評価できる。
[成果の活用面・留意点]
- 葉群密度判定板を用いる葉群密度判定値の測定法は、圃場でリンゴ樹冠内の枝葉の混み具合を簡単かつ安価に評価できる。
- 植栽距離や樹の大きさに合わせて、測定範囲を調整する必要がある。
- 測定方法を工夫することにより、リンゴ以外の他樹種にも応用できる可能性が高い。
- この手法は測定者の達観調査によるため、得られたデータは、あくまでも枝葉の混み具合を相対的に示すものであり、絶対的データではない。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- フェロモン利用等を基幹とした農薬を50 %削減するりんご栽培技術の開発
- 課題ID
- 214-o
- 予算区分
- 農薬削減リンゴ
- 研究期間
- 2005 〜 2007 年度
- 研究担当者
- 猪俣雄司、井原史雄、別所英男、工藤和典、土師岳(東北農研)、高梨祐明(東北農研)