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ラズベリーの多収で収穫能率が高い整枝方法

[要約]

ラズベリーを列状に植栽した場合、I 字整枝ではV 字整枝に比べて、a 当たりの収穫時間が59 〜 83%に短縮される。また、植栽列1 m 当たりの夏果の結果母枝を10 本とすると5本に比べて両整枝方法とも夏果の収穫量が増加する。

[キーワード]

ラズベリー、I 字整枝、V 字整枝、結果母枝数、収穫量、収穫時間

[担当]

宮城農園研・園芸栽培部・果樹チーム

[代表連絡先]

電話022-383-8132

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

水田転換畑用新規品目としてラズベリーが有望であるが、ラズベリーの夏果の収穫期間は約1 ヵ月で、果実は日持ち性が悪く、週に2〜3回手づみする必要がある。また、新梢の生長も旺盛で繁茂しやすく、収穫には多大な労力を要する。そこで、多収で収穫能率が高い整枝方法を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 夏果の結果母枝を列正面から見たときにI 字になるように配置(以下I 字整枝と省略)すると、V 字になるように配置(以下V 字整枝と省略)するのに比べて、「サマーフェスティバル」および「サウスランド」の両品種とも1 果あたりの収穫時間が約1 秒短く、a 当たりの収穫時間が59 〜 83 %となり、収穫作業の能率が上がる(図1表1)。
  2. I 字整枝では、V 字整枝と比べて、「サマーフェスティバル」および「サウスランド」の両品種とも樹幅(列間方向)を狭く維持できる(表1)。
  3. 両整枝方法とも、植栽列1 m あたりの結果母枝数を10 本配置することで「サマーフェスティバル」では約6s、「サウスランド」では約3s収穫でき、植栽列1 m あたりの結果母枝数を5本配置するのに比べて収量が増加する(表2)。
  4. 「サマーフェスティバル」および「サウスランド」の両品種とも1果重と商品果率は結果母枝の配置や数で、大きな差はみられない(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. I 字整枝は樹体の中心に、地上部10cm、70cm、120cm および170cm に番線を設置し、また、V 字整枝は樹体両側に植栽列と平行に地上部70cm、120cm および170cm に番線を設置する。また、番線を設置する支柱の長さは、下から40cm、60cm、80cm で、地面にさす支柱の間隔は両整枝方法ともに5 m とする(図1)。
  2. I字整枝においては地面から伸びるシュートが通路側にせり出すので、図1のように夏果収穫前にシュートを高さ10cm に設置した番線に対し水平となるように結束し、夏果収穫終了後、番線に誘引する。
  3. 両整枝方法ともに、結果母枝数を10 本より多く配置すると、作業性の低下や、通気性の悪化により灰色カビ病などの病害が発生することが懸念される。
  4. 結果母枝を10 本配置するとV 字整枝はI 字整枝より収穫量は多いが、収穫にかかる作業時間が長くなるので、整枝方法の選定に当たっては留意する。
  5. 耕種概要は、6年生株を用い、施肥量は植栽列1 m 当たり窒素成分で元肥9 g(2/28)、追肥6 g(6/13)で、灌水量は2.3L/日とした。植栽時の株間は1 m、列間は1.6m で、あぜシートを用いて畝幅約30cm の根域制限をおこなった。また、雨よけハウス内での栽培である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
経営の幅を広げる水田転換畑用新規品目の検索と栽培流通方法の確立
予算区分
県単
研究期間
2004 年〜 2008 年度
研究担当者
菅原怜、大沼欣生、鵜飼真澄