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オウトウの開花期前早期被覆による結実向上
[要約]
開花期前に雨よけフィルムを被覆し、ハウス妻面およびサイドに防風ネットを設置することで、雨よけ施設内の気温が上昇、風速が低下することにより、訪花昆虫の飛行数が増加し、結実率の向上が期待できる。
[キーワード]
オウトウ、開花期前早期被覆、訪花昆虫、結実率
[担当]
山形県最上総合支庁産業経済部農業技術普及課・産地研究室
[代表連絡先]
電話0233-22-2201
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
最上地域は、開花期の低温、降雨、強風の影響により、オウトウの結実率が不安定となりやすい。こうした地域での安定生産を目的として、雨よけフィルムの開花期前早期被覆(以下、「早期被覆」という。)により受粉環境を改善することで、結実率の向上を図る。
[成果の内容・特徴]
- 開花期前に雨よけフィルムを被覆し、ハウス妻面およびサイドに防風ネットを設置すると、慣行(6月上旬被覆)と比較して日中の気温が高く経過し、風が弱くなる等、ハウス内の微気象条件が改善される。早期被覆のハウス内では、高さ3.0m における開花期間中の最高気温は、慣行に比べ晴天日で約2.5℃、曇天・雨天日で約1.9℃高い(図1、表1)。
- 早期被覆のハウス内では、慣行と比べてミツバチの飛行頭数が増加し、特に雨天・曇天日でその効果が高い(表2)。
- 早期被覆によるハウス内の微気象条件の改善により、結実率の向上が期待できる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- ハウス内に受粉樹が混植されているところで行う。または受粉樹の切り枝を水差しして設置するなどの対策を必ず行う。
- 本技術はミツバチ等訪花昆虫を導入したうえで、人工受粉を行う。
- 防風ネットは、白色、目合い4mm のものを二重にして使用した。
- 開花期に30℃前後の気温になると、ハウス内ではさらに高温となる。その場合には高温障害を回避するために防風ネットを巻き上げるなど換気対策を行う。
- 開花期、果実肥大期には水分を多く必要とするため、かん水を十分に行う。
- 掲載した具体的データは、2006 年、2007 年に同条件で連続して試験を行った2 年目の結果である。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- 果樹の安定生産技術開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2006〜2008 年度
- 研究担当者
- 池田泰子、菅原秀治、渡辺 伸